写真集制作レポート

第1回SHINESに入選した8名が、いよいよ写真集を制作していきます。写真を「撮る」こと、「選ぶ」こと、そして「写真集」という本に仕上げること。それぞれに別の視点が必要です。「写真」から「写真集」へ。その制作過程は自問自答の連続でした。少しずつゴールを見出していく彼らの一部始終をレポートします。

グループミーティング Vol.3

写真集を作るということは、紙の質やサイズ、ページ数、製本方式、価格など、すべてのことを考え、自分が納得した上で最終的に「写真集」として作り上げなければなりません。ただ、自分で納得するまで考えるといっても「正解」がない作業であり、すべてにおいて満足できないかもしれません。町口氏は「300%のことを考えても、やっと80%くらいのものができるかどうか。もし、最初から100%で考えてしまうと、仕上がりは20%に満たない恐れもある……」と言います。それほど完成度の高い写真集を作ることは難しいのです。

これまで「写真集」を作るのは一部の写真家に限られていました。しかしカメラだけでなく、印刷・出版業界もデジタル化とネット化が進み、出版社が「大量に制作する出版(オフセット方式)」だけでなく、個々人が高クオリティで少部数を作る「オンデマンド方式の出版」も増えてきました。オフセットは高画質で大量に刷ることができるので、1冊あたりの価格を下げることができますが、時には大量の在庫が発生してしまいます。オンデマンドは、部数の多寡ではコストは変わらず、1冊あたりの価格は高めになる傾向ですが、高画質な写真集を1冊から作ることができます。さらに増刷時にも色が変わらないので、欲しい時(売れた時)に欲しい数(売れた数)だけ増刷でき、写真家が在庫リスクを負う必要がないというメリットがあります。キヤノンのオンデマンド印刷機である「DreamLabo 5000」を一つの選択肢として、各入選者は写真集の制作に取りかかりました。

※キヤノンの「DreamLabo 5000」は、インクジェット方式の業務用印刷機です。7色の染料インクを使い、ハイライト部分の階調表現をなめらかに。また、カラーバランスのズレが少ない安定した色再現性を実現します。DreamLabo 5000について、詳しくはこちらをご覧ください。