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トップ > ITのチカラ [Vol.4] e文書対応ソリューション > P1
法改正により国税関係の書類をスキャンして保存するための要件が緩和されたことを受け、「e文書対応ソリューション」が注目を集めている。キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)グループが提供するソリューションについて、グループ各社の担当者が解説する。
今回のポイント
インタビュー
――2015年、16年の電子帳簿保存法の要件緩和で、e文書対応ソリューションへの注目が高まっています。まず、改正内容について教えてください。
西尾
電子帳簿保存法は、国税関係帳簿書類の電子データ保存について定めた法律で、1998年に施行されました。2005年の改正で紙の書類をスキャンして保存できるようになりましたが、保存や入力に求められる要件が厳しく、なかなか活用が進んでいませんでした。
15年の改正で重要なポイントとして挙げられるのは、領収書や契約書などの重要書類に関する金額基準の変更です。それまで3万円未満の書類しか電子保存が認められていませんでしたが、改正で金額の制約がなくなりました。
また、スキャンした書類に電子署名を行い、タイムスタンプを付与しなければならないとされてきましたが、改正後は入力者等の情報が確認できれば電子署名が不要となり、さらに関連帳簿の事前承認を受けることなく、スキャナー保存の申請が可能になりました。
16年9月の要件緩和では、実質的にスマートフォンやデジタルカメラでの撮影によるデータ化も解禁されました。
――法改正を受けて、企業の意識や取り組みにはどのような変化が見られているでしょうか。
山田
中堅企業や大手企業を中心に「紙の書類を電子化したい」というニーズは多く、法改正のニュースが流れて以降、非常に高い関心が集まっています。
例えば税務署の調査の際に5年前の証憑(しょうひょう)が必要となれば、これまでは古い書類が保管されている倉庫の中から探し出す必要がありました。こうした書類をスキャンして電子化できれば、調査対応業務の効率が大幅に改善されます。
西尾
内部統制の強化も期待できます。例えば各事業部門が会計システムへ支払い情報などの入力を行っている場合、証憑がスキャンにより電子化されていれば、経理部門の担当者は容易に突き合わせが可能で、誤りや不正に気付きやすくなるでしょう。
サポート部門などでは、申込書などを電子化したいというニーズもあります。問い合わせがあった場合にすぐ書類を検索し、スムーズにサービスを提供できれば、顧客満足度の向上が図れます。
坂田
e文書への対応については、書類の保管コスト削減に対する期待から興味を持たれる方が多いのですが、実際に導入を検討する段階で大きなメリットとして浮かび上がるのは、業務効率アップや内部統制の強化であることが少なくありません。