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トップ > Cのキセキ Episode.24 「CMOS SENSOR」 > P2
デジタルカメラの分野で長年高い支持を得ているキヤノンは、そのキーデバイスである撮像素子「CMOSセンサー」のメーカーでもある。これまで自社製品のために開発・生産してきたキヤノンだが、その販売をついにスタートさせた。その狙いはどこにあるのだろうか。
キヤノンでCMOSセンサーの企画・販売を担当する川野藤雄は、CMOSセンサーをめぐる現状をこう説明する。
「現在CMOSセンサーの用途で大多数を占めているのがスマートフォンのカメラ用ですが、その他の専門的な領域でも利用が広がっています。"機械の眼"として産業機器やIoTデバイスなどにも搭載されるようになってきているのです。そしてこの領域は、これから大きな成長が見込まれます。そうした新しい領域で、これまで培ってきた技術とノウハウを生かしていきたいと考えています」
キヤノンは17年からCMOSセンサーの販売を始め、"新しい領域"に向けて提供している。だが、市場には幅広いラインアップで高いシェアを獲得しているメーカーがおり、後発のキヤノンが存在感を示すのは簡単ではない。だが川野は、「同じCMOSセンサーでも、スマートフォンやデジタルカメラなどのコンシューマー製品用と産業用とでは、求められる性能や機能が全く異なります。そこにチャンスがあると考えています」と話す。
キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)で、CMOSセンサーの販売推進を担当する安田桂治は、"求められるもの"の多様さをこう話す。
「CMOSセンサーを搭載した産業機器を製造しているメーカーの方からニーズを聞くと、一口に"産業用"といっても分野や用途によって必要な機能や性能が大きく異なることに驚かされます」
安田と共にキヤノンMJで販売推進を担当する桐山邦康もこう話す。
「とにかく多画素のものが欲しいというお客さまもいれば、暗闇でも使えるセンサーが必要なお客さま、高速で動くものを正確に捉えるセンサーを求めているお客さまがいます。そうした多様なニーズにキヤノンの技術をどうフィットさせられるか。それを考え続けなければならない難しい市場ですが、それだけ可能性のある市場でもあります」
キヤノンはそんな市場に、どのような戦略で切り込んでいくのだろうか。