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トップ > 特集 「売れない時代」の処方箋 “買う”と決める、そのココロ > ケーススタディー2
人が商品やサービスを「買いたい!」と思うとき、そこにはどのようなメカニズムが働いているのだろうか。 売り手はどのようにしてそれに働き掛けていけばいいのだろうか。「モノが売れない」といわれるこの時代に人々の購買意欲を促す方法を探る!
通販コスメのトップブランドの一つ、オルビスのECサイトがリニューアルされたのは、昨年の10月だった。
「リニューアルに当たり、お客さまにアンケートを取って生の声を聞き、ワントゥワンの関係づくりを強化しました」
そう話すのは、WEB企画チームの福士晶子さんだ。
同社は8年ほど前から、一人ひとりの顧客と深く、長く付き合っていくためのワントゥワンマーケティングをブランド全体の方針として取り組んできた。また、コールセンターでの接客で長年培われた顧客との関係づくりのノウハウもあった。その方針と強みを、ECでさらに推し進めようとしたのが昨年のリニューアルだった。
とりわけ強化したのが「マイページ」だ。顧客の購入履歴などに応じて商品をリコメンドする機能で、顧客は膨大な商品群の中をさまようことなく、欲しい商品をすぐに見つけることができる。
「お客さまの中には働く女性も多いため、スマートフォンで隙間時間などにストレスなく買えることを目指しました」
「マイページ」のもう一つのポイントは、そのページが顧客ごとにカスタマイズされた特別なコンテンツになっていることだ。オルビスのサイトに行けば、自分のためだけのスペシャルな情報を見ることができる。そのいわば「特別扱いの心地よさ」が、多くの顧客の心を捉えている。
ほかにも、全ての商品を顧客から寄せられた口コミ情報とひも付けて「安心感」を生み出したり、顧客と共に進める商品開発プロジェクトによって「参加感」をつくり出したり、Twitterでの書き込みによっては、返信メッセージを送り「友人感」を演出したりと、オルビスのネットマーケティングには、消費者の心を捉える工夫が張り巡らされている。
「お客さまの喜びと驚きをいかに醸成できるか。その視点を忘れてはいけないと思っています」
現在、ECサイトの売り上げは、通販全体のおよそ6割。この数字は、今後さらに伸びていきそうだ。