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トップ > ITのチカラ [Vol.20] DX推進に不可欠な「データマネジメント」への取り組み > P1
企業の持続的成長のため、いまや不可欠ともいえるDX(デジタルトランスフォーメーション)。多くの企業では、DXを支える取り組みとして、データの収集や分析などのデータマネジメントにも力を入れる動きが加速している。データマネジメントを推進する上で企業が抱える課題と解消のための施策について、法政大学ビジネススクールの豊田裕貴さんに聞いた。
今回のポイント
ソリューションレポート
――日本企業のDXの現状について、どう見ていますか。
新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受け、業務のオンライン化や電子決済の利用など、デジタル化を進めた企業は多いと思います。しかし世界に目を向ければ、コロナ禍に見舞われるよりずっと前からDXに取り組んでいました。日本企業はDXにおいて世界の中で遅れをとっているというのがコンセンサスになっています。「日本企業もデジタル化には積極的に取り組んできた」という声もありますが、DXの本質は「デジタル化」ではなく「トランスフォーメーション(変革)」です。デジタル化により変革を起こしたといえる企業はまだまだ少ないのではないでしょうか。
DXというとよく登場するキーワードに「省力化」があります。確かに省力化を進めることは重要であり、DXの目的の一つではあるでしょう。しかし、省力化だけを目的にするのではなく、その先に「変革」を目指すことが重要です。例えばデジタル技術の活用で、新たな顧客接点や、顧客の声を的確に収集・分析して新たな商品やサービスを創出できれば、それらも「変革」といえるでしょう。
日本企業はコロナ禍の中で「DXを進めざるを得ない」状況に置かれています。「仕方なく取り組んでいるがパンデミックが落ち着けばオンライン会議も減るのでは」などと考えている人も少なくないでしょう。DX化を不可逆なものとする仕組みづくりが重要です。また、その取り組みを単なる省力化で終わらせては、日本企業のDXは世界からさらに遅れをとることになります。DX推進を不可逆かつ自由な発想から取り組むことを認める経営陣の理解も必要です。
――DX推進には、まずデータマネジメントが必要だといわれます。その基本的な考え方について教えてください。
データマネジメントは、料理に例えて考えると分かりやすいと思います。料理は、まず素材を準備し、それを調理することで完成します。データマネジメントでは、素材の準備がデータの収集、調理がデータを適切に管理して活用することだと考えることができます。
大事なのは「誰に向けてどんな料理を完成させるのか」です。それをイメージしないまま、素材の準備や調理をしても意味がありません。どんなに良い素材で料理をつくっても、その素材が嫌いな人には喜んでもらえないでしょう。データマネジメントでも最初に考えるべきは「"誰"の"どんな課題"を解決したいのか」ですが、このことが後付けで考えられてしまうことが少なくありません。
データの活用によって何ができそうかを考えるには、DXで先行する事例などを知ることが必要です。世界にどのような料理があるのかを知らなければ、「こんな料理をつくりたい」とイメージすることは難しく、どんな材料を用意すべきか分からないでしょう。まず他社事例を学ぶことで、データ活用によって実現したいことを具体的にイメージできるようになり、その上で「自社にどのようなデータがあるのか」「足りないデータは何か」「それをどう補うのか」といったことを考えていくのが、データマネジメントの基本といえます。日本はDXにおいて世界から遅れてはいますが、逆に見れば先行事例が多くあるということです。そこから学んで追い付くチャンスだと捉えることもできるでしょう。
適切にデータマネジメントを行ってDX推進につなげていくには、多くの人が持っている「データへの誤解」を解いておくことも必要です。データと聞くと「コンピューターに入力すれば結果を導き出してくれるもの」とイメージする人が多いと思いますが、データを読むには主観が求められるのです。
例えばMBAでケーススタディを学ぶとき、企業の成功事例や失敗事例を読み、より良い結果を導くにはどうすべきだったかを議論して新たなストーリーを考えます。これと同様に、データが示す過去の事実も、主観を持って想像力を働かせ、考えながら活用する必要があるのです。「どのようなデータを集めて、そこからどんな知見を引き出すのかというのは、人間が考えなければならない」という認識がないままデータ活用に取り組むと、「データを集めてみたが期待していた結果が出なかった」ということになりかねませんので、注意が必要です。
日本におけるDXとデータマネジメントの現状と課題
① 日米でのDXの取り組み状況の違い
② DXを推進する際の障壁の変化
③ 組織横断的なデータ活用への取り組み
④ データマネジメントの課題
⑤ 日米のDXを推進する目的の違い
データマネジメントコンサルティングから、データマネジメントプラットフォームや機械学習・データ分析プラットフォーム、デジタルマーケティングの導入支援、データ分析支援のサービスまで、お客さまのデータマネジメントをワンストップでサポートし、DX推進に貢献します。