カテゴリーを選択

トップ > ITのチカラ [Vol.20] DX推進に不可欠な「データマネジメント」への取り組み > P2

ITのチカラ Vol.20 DX推進に不可欠な「データマネジメント」への取り組み

企業の持続的成長のため、いまや不可欠ともいえるDX(デジタルトランスフォーメーション)。多くの企業では、DXを支える取り組みとして、データの収集や分析などのデータマネジメントにも力を入れる動きが加速している。データマネジメントを推進する上で企業が抱える課題と解消のための施策について、法政大学ビジネススクールの豊田裕貴さんに聞いた。

  • Twitter
  • Facebook
  • ITのチカラ
  • 2021.06.01

[Vol.20]DX推進に不可欠な「データマネジメント」への取り組み

データマネジメントの推進には使いやすいシステムに加え「データの価値」の共有が必要

――今後データマネジメントを推進していくためには、どのような取り組みが必要でしょうか。

昨今の企業の取り組みを見ると、データマネジメントシステムが巨大かつ複雑になっているように感じますが、まず求められるのは「必要最低限のシステムをつくって定着させること」だと思います。例えば、あるスーパーマーケットチェーンでは最先端のポスレジと会員カードを採用し、そこから得られるデータを分析する高度なシステムを導入しました。ところが現場では、日々の価格変更と売り上げの集計、そして定期的に行われる棚卸しなど、今までの業務を効率化する機能のみが用いられ、その他のほとんどの機能は手付かずの状態でした。

このようなことが起きるのは、システムの複雑さや使い勝手の悪さに加え、現場のスタッフがデータの魅力に気付いていないためではないかと思います。データの収集・管理は「面倒だ」「何の意味があるのか」などと思われてしまいがちです。現場のスタッフが簡単に使え、なおかつ意義を感じられるシステムでなければ、データの収集さえおぼつかないという事態に陥る可能性があるわけです。この状況を改善するには、システムを必要最低限にして使いやすくすることに加え、「データは価値があるもの」「DXは面白いし意義がある」と思ってもらうことが重要です。この部分の理解が広がらなければ、データマネジメントやその先のDXの進展は望めません。

もう一つ重要なのは、データマネジメントを担う人材の多様化です。これまでのデータマネジメントは主に情報システムに詳しい人たちが担ってきましたが、場合によっては、専門家だからこそ難しく考え過ぎてしまう弊害を生じさせてきました。どんなに高度なシステムであっても、多くの場合その利用者はシステムの専門家ではありません。ですから、そのシステムが何のためにあるのかを、全くの初心者でも分かるように説明できることが重要です。そう考えると、データマネジメントを担うチームはシステムに詳しい人ばかりでなく、「データマネジメントがもたらす価値」や「データマネジメントの目的」を議論できる多様な人材で構成すべきでしょう。

外部の専門家の活用も一法。短期的成果ばかり求めず共に価値創造を目指す

――データマネジメントについては人材不足という企業の悩みも聞かれます。

社会全体で専門家が不足しているため、優秀な人材の採用は難しく、社内での育成にも時間がかかります。データの「調理方法」を提案してくれる外部の専門家を活用するのも、一つの解決方法です。ただし外部の専門家を活用するには「食べたい料理」を決めてオーダーすることが必要です。「うちの会社にこんなデータがあるからうまく活用してほしい」と丸投げするのではなく、自社がデータを活用することでどのような明るい未来を描けるのかについて、自ら考えることが求められます。外部の専門家を活用する場合、DXを単なる省力化で終わらせないためには、短期的・定量的な成果ばかりを求めず、企業としてどう新たな価値を創造していけるのか、中長期的視点で一緒に考えられるパートナーを選ぶことが大切でしょう。

豊田氏の注目POINT

  • データマネジメントには「データ活用によって実現したいこと」の具体的なイメージが必要
  • データマネジメント推進のために、現場が使いやすいシステムと「データの価値」の共有を
  • データマネジメントを担うチームの組成において、人材の多様化は重要な視点

キヤノンITソリューションズのデータマネジメントサービス

キヤノンITソリューションズの
「データマネジメントサービス」

  • 前のページ

    業務の省力化だけがDXの目的ではない。
    その先にある「変革」を目指す
    データマネジメントはデータ活用によって何を実現するかが重要
  • 次のページ

    キヤノンMJグループ ソリューション
    データの一元的な管理・見える化と先進技術での分析・活用で
    企業のDX推進を支援する「データマネジメントサービス」

C-magazine サイト トップページに戻る

PDFで閲覧する場合は、デジタルアーカイブスへ

このページのトップへ