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トップ > ITのチカラ [Vol.22] 業務効率化と生産性向上のために「EDI」でデジタル変革 > P1
企業間の受発注は、電話やファクスを使う企業は少なくない。そこでは納品日の誤認や業務効率の低下が生じうる。この課題を解決するのがEDI(電子データ交換)だ。EDIの利活用を促す流れがある一方、導入企業では、ISDN(INSネット ディジタル通信モード)サービス終了で旧来のEDIの換装が求められている。EDIの利活用で企業はどんなメリットがあるのか。明治大学 経営学部 教授の岡田浩一さんに聞いた。
今回のポイント
ソリューションレポート
――これまでEDIが思うように普及してこなかったのはなぜでしょうか。
EDIは決して新しく世に出てきた技術ではなく、すでに1970年代から導入されてきたものです。EDIとは簡単にいえば、商品の受発注をはじめ取引に関する内容を相手方とデータでやりとりする仕組みです。電話やファクスを使った受発注と異なり「言った、言わない」のトラブルを避けたり、数量や納品日を聞き間違えたりといったケアレスミスを大幅に減らし、取引の正確性を高めることができます。
しかし近年になるまで、そういったEDIの価値があまり注目されず、企業規模による違いはありますが、導入率もそれほど伸びませんでした。業界ごと、あるいは系列ごとに独自の仕様を持ったEDIが乱立しており、多くの企業から受注を受ける企業は複数のシステムに対応するための投資や運用を余儀なくされたことも一因にあると考えています。
これを裏付けるように、日本のBtoB市場におけるEC(電子商取引)化率も伸び悩んでおり、2015年の約27%から5年が経過した19年になっても約31%にしか達していません。
さらに、すでにEDIを導入している企業の間にも「2024年問題」と呼ばれる新たな課題が浮上しています。NTT東西は24年1月にISDN(INSネット ディジタル)サービスを終了し、順次IP網へ移行することを発表しています。これまでISDNを利用してきたレガシーなEDIシステムは使えなくなることになります。
通信速度の速い光回線が普及する一方で、老朽化したISDNの設備は限界を迎えており、より高速に送受信できるIP網に対応した形でのEDIシステムの構築が急務となっています。
――EDIの利活用が遅れていることで、どんな弊害が起こっていますか。
業務の効率化を進めることができないのが最大の問題です。
象徴的な例として、中小企業が取引先に対してどんな手段を使って送金しているのかを調査した結果によると、半数の企業が銀行窓口やATMから振り込みを行っていると回答しました。
また、中小企業の入金消込業務にかけている時間の調査では、月平均で5時間以上と答えた企業の割合が半数以上を占めており、さらに入金消込業務に月5時間以上かけている企業の内訳を見てみると、20~50時間かかっていると回答した企業が最も多いことが明らかになりました。
多くの時間と手間を削減するためにも、EDIによって受発注などの取引をデータ化し、さらに会計システムや全銀EDIシステム(ZEDI)と連携させれば、目視と手作業で行っている煩雑な経理処理を解消し、もっと業務を効率化できるはずです。
EDIとは
レガシーEDIとは
電子商取引の現状とEDIの2024年問題
① 日本におけるBtoBの市場規模とEC(電子商取引)化率
② 電子商取引による効果
③ 業種別のITツールごとの利活用状況
④ NTT東西によるIP網移行スケジュール
パッケージ製品の導入のみならず、EDIシステムの設計・構築・運用にいたるまで、トータルなサポートが可能。
専用線、VAN型EDIからインターネットEDIまで、さまざまな企業間電子商取引(EC/EDI)実現に向け最適なソリューションを提供します。