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ITのチカラ Vol.25 迫りくる「2025年の崖」を乗り越え、DX推進のための必須の取り組み

経済産業省が「DXレポート」を発表してから数年が経過し「2025年の崖」が2年後に迫る。日本企業は同レポートで示されたレガシーなITシステムに関する課題をどこまで克服し、DXを推進できているのか。残念ながらDXの本質がビジネスモデルの変革であることを理解しておらず、前段階のデジタライゼーションでとどまっている企業が少なくない。「2025年の崖」を乗り越えるためには何が必要なのか、東京理科大学 経営学部 国際デザイン経営学科 教授の飯島淳一さんに聞いた。

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  • ITのチカラ
  • 2023.06.01

[Vol.25]迫りくる「2025年の崖」を乗り越え、DX推進のための必須の取り組み

事業や業務について理解できる"質"の向上こそが、IT人材育成に求められる

――そうした情報システムの課題を解決していく上で、IT人材の不足という問題も叫ばれています。

確かに2030年に45万人のIT人材が不足するとされていますが、重要なのは人数という"量"の問題ではなく、"質"の問題であると考えます。

ITシステムは、企業や組織における活動の一部を機械や技術によって代替するものです。したがって、事業創造や製品・サービスの付加価値向上、業務のQCD(品質・コスト・納期)向上を実現させるためには、対象となる業務そのものの理解が不可欠なのです。技術に詳しい人材がどれだけいるかという"量"ではなく、技術のみならず事業や業務を理解しているかどうかという"質"こそが、IT人材には求められています。

ところが、現在のIT人材に対する高等教育は、技術に関する教育が中心で、事業や業務への理解といった部分の教育が欠落しているといっても過言ではありません。日本の工学系の学部では、経営情報に関する教育はほとんどなされておらず、逆に経営学や商学系の学部では高度な技術的教育が必ずしもなされていません。このようなギャップが、現在の問題の根幹にあると思っています。

デジタルを利活用して変革を遂げていくためには、人間そのものの理解が必須

――多くの課題を抱えながらもDXを推進し、「2025年の崖」を乗り越えなければならない日本企業を支えるために、今後のIT産業にどのようなことを期待しますか。

JISA(一般社団法人情報サービス産業協会)の定義によれば、IT産業は、「コンピュータ機器製造業」「通信産業」「情報サービス産業」の3つに区分されます。

この中で今後の中心となるのは、間違いなく「情報サービス産業」でしょう。さまざまなデジタル技術を使って、どのような製品やサービスをどう提供するのか。その変革に向けて、重要な役割を担っているのが情報サービス産業にほかなりません。そう考えたとき、製品やサービスの利用者、その利用シーンに対する理解が不可欠であり、そうした観点で考えられる人材の育成なくして産業としての成長もあり得ません。

なお、日本では「IT」と「デジタル」という2つの言葉が混同して使われがちですが、実はそこには明確な違いがあることも認識しておくべきです。

台湾のデジタル担当大臣を務めたオードリー・タン氏は、あるスピーチの中で、「『IT』は機械と機械をつなぐものであり、『デジタル』とは人と人をつなぐものである」と語りましたが、この言葉はまさに的を射ています。

デジタル技術を利活用して変革を遂げていくためには、人間そのものに対する理解が必須であることを、今一度述べておきたいと思います。

飯島氏の注目POINT

  • DXの真の目的は、「ビジネスモデルの変革」にある
  • 事業や業務への理解がなければ、ITの効果的な利活用はできない
  • DX推進に向けて、情報サービス産業はますます重要な役割を担う

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    既存システムの複雑化、ブラックボックス化がDXを阻んでいる
    DXで目指すべきはビジネスモデルの変革であり、
    デジタル化はその前提
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    ビジネスのリデザインが必要
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