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トップ > ITのチカラ [Vol.1] 「Salesforce」を活用した金融機関向け法人営業支援システム > ケーススタディー
市場環境の変化により、営業活動の効率化と顧客満足度向上の両立が課題となっている生命保険会社の法人営業部門。
キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)が提供する、金融機関向け法人営業支援システムについて、ビジネスソリューションカンパニーMA販売事業部の木下史章、大田恭裕、酒井陽介が解説する。
今回のポイント
ケーススタディー
三井生命保険が「金融機関向け法人営業支援システム」を導入したのは、2015年3月のこと。生命保険の法人営業は、顧客対応や情報連携のために、取引先企業や担当者について広範な情報の蓄積が求められる。しかし、これまでは、10年ほど前から使用しているシステムで断片的に情報を保存している状態で、データを横断的に活用することが難しく、時系列での情報整理もしにくかったという。「情報の確実な蓄積と連続性の確保は、早急に解決すべき課題でした」(法人営業統括本部 法人業務部長の古川一功氏)。
新システム導入にあたっては、自社開発も含めて複数のアプローチを検討した。だが、自社開発では開発期間がかかりすぎるという問題があった。また、「自社開発だと、既存システムの発展形にとどまることが予想されました。グローバルスタンダードであるSalesforceの導入であれば、仕事のスタイルを世界標準に合わせていく業務改革の効果もあるのではないかと考えました」(法人業務部法人業務グループ課長の大町隆久氏)
導入後に大きく変わったのは、情報にたどり着くまでのスピードだ。「これまでのシステムでは、必要な情報を集めるのに非常に手間がかかっていましたが、新システムではこれが劇的に改善されました」(古川氏)。現在は営業担当者に加え、管理職、サポートスタッフなど約190人が新システムを活用。一元化された情報により、業務の連携もスムーズになったという。
もちろん、営業現場への影響も大きい。法人営業第二部第二グループ副長の荻野 智氏は、「営業活動に伴う情報収集にかかる時間は、従来が1日15分余計にかかっていたとすると年間では60時間。これは営業日数8営業日弱に相当します。これだけの時間を新たに営業活動に費やせるようになったのは大きい」と語る。また、Salesforce上で法人部門の予定表を共有できるようになったことも業務効率アップに寄与している。「法人営業では部門内での連携が必要な業務も多く、新システムを活用することで、社内会議やお客さまを訪問する際のスケジュール調整もスムーズにできるようになりました」(荻野氏)
社内で人事異動があった場合も、新システムが威力を発揮する。従来から情報の引き継ぎは行われていたが、あらゆる情報を漏れなく引き継ぐのは難しいのも事実だ。Salesforceには、お客さまごとに「いつどのような対応が必要か」といったデータも蓄積されているので引き継ぎはスムーズ。荻野氏は、「三井生命としてお客さまへ対応すべきことを確実に行えることは、お客さま、ひいては会社を守ることにつながる」と感じているという。
さらに、新システムは人材育成にも一役買っている。管理職者がSalesforce上のデータから営業担当者の活動内容を分析し、活動の偏りがある場合などにフィードバックすることで、目標達成に向けた業務改善のポイントが分かるようになった。また、営業担当者同士でお互いに入力内容を確認できるため、若手社員が先輩社員の行動や考え方を参考にしながらお客さまへの提案内容を考えるといった動きもあるという。
新システム導入から10カ月が経過し、活動・計数管理業務の面ではほぼ浸透したという。「今後は、コミュニケーションツールとしての活用による情報連携の円滑化や、モバイル化して外出時の移動や空き時間の有効活用による活動時間の創出を進めていきたいですね」(大町氏)
法人向け営業活動で培ってきた販売・マーケティングノウハウを基に開発したもので、コンサルティングからシステム導入後の運用支援、システム活用の定着化、システムの障害対応までをトータルで提供していきます。