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トップ > ITのチカラ [Vol.8] 車載ソフトウエア開発サービス > P2
自動車向けソフトウエアプラットフォームの開発を行うAPTJ社に参画し、車載ソフトウエア開発事業を加速するキヤノンITソリューションズ(以下、キヤノンITS)。これまでの取り組みと今後の方針を、キヤノンITS インダストリーシステム事業本部の橋本真幸、雨宮佑樹、APTJ 開発部の川村和義、品質保証部の佐藤友紀が解説する。
今回のポイント
インタビュー
―― キヤノンITSの自動車分野へのこれまでの取り組み、APTJ社への参画で目指していることを教えてください。
佐藤
キヤノンITSに対して自動車のイメージはあまり強くないかもしれませんが、実は自動車の故障診断システムの提供をきっかけに30年以上の実績があります。カーナビゲーションやブレーキ、車載カメラ、ハイブリッド車のエンジン制御など、多様な車載ソフトウエアの開発を行ってきました。さらに、システム要件や開発プロセスの決定、機能安全支援など、開発の上流段階まで携わっています。
雨宮
「AUTOSAR」が国際標準になる流れの中、APTJ社と共に開発経験を積み、人材育成とノウハウの蓄積を進めています。
橋本
今後は手掛けてきた車載ソフトウエアの開発にとどまらず、「AUTOSAR」の導入支援からインテグレーション、アプリケーション開発まで、トータルなソリューションを提供するプラットフォームビジネスを展開していく予定です。
―― 車載ソフトウエアの開発において、キヤノンITSの強みとはどのような点でしょうか。
橋本
長年にわたり、組込みソフトウエア開発を担ってきたことです。
あらゆる機器において重要な役割を担っている組込みソフトウエアが、問題なく動き、さまざまな機能を実現するには、製品の開発・生産プロセスの上流から下流まで参画していく力量が必要です。その意味で、キヤノンITSは単にソフトウエアを受託開発しているだけの存在ではないと自負しています。
川村
キヤノンITSは、複合機やカメラ、産業機器や医療機器、さらにスマートフォンなどのキヤノン製品以外の機器においても幅広く対応してきた実績があります。また、約800名もの組込みソフトウエア技術者を擁しており、キヤノンITSほどの規模を持つ企業は他にないと思います。
雨宮
組込みソフトウエアというのは「縁の下の力持ち」のような存在ですから、日常生活で意識されることは少ないと思います。しかし、世の中にある数え切れないほど多様なハードウエアの中で組込みソフトウエアが稼働していることを考えると、これはインフラ産業といってもいいでしょう。
佐藤
高い品質基準があるキヤノン製品を主力として取り組んできた経験からも、キヤノンITSの組込みソフトウエアの品質に対する意識は非常に高いといえます。人命に関わる面もある車載ソフトウエア開発に取り組む上においては、この品質へのこだわりが生きています。実際、キヤノンITSのノウハウや技術力が確かなものだということは、委託を受けた各メーカーからも認められていると感じています。
※AUTOSAR(AUTomotive Open System ARchitecture、オートザー):欧州の自動車メーカーやサプライヤーを中心に2003年に発足し、仕様を策定・公開しているコンソーシアムの名称
キヤノンITSでは、車両内外の通信機能や診断機能、エンジンなどパワートレイン系の制御機能、車載カメラや衝突安全装置の安全機能など、さまざまな車載システム開発の実績がある。今後は「AUTOSAR」導入支援からインテグレーション、アプリケーション開発まで、トータルなソリューションを提供するプラットフォームビジネスの展開を目指す。