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トップ > ITのチカラ [Vol.11] ITの進化と活用で「医療」はどう変わるのか > ソリューションレポート
日本における少子高齢化が進む中、医療の質をどのように維持・向上していくかが問われている。日本の医療現場では、過疎化した地域での医療サービスの低下や医師の絶対数の不足に加え、診療科ごとの医師の偏りなど、多くの課題を抱えている。解決策や今後期待される医療の進化について、インテグリティ・ヘルスケアの武藤真祐さんに話を聞いた。
今回のポイント
ソリューションレポート
実はキヤノンの初代社長である御手洗毅は、もともと産婦人科医でした。キヤノンの医療の歴史は長く、1940年に日本初となるX線間接撮影カメラを開発。以後、長年培ってきた光学技術や画像処理技術を活用し、グループで多様な医療関連の製品・サービスを提供してきました。
2014年には、医用画像クラウドサービス「Medical Image Place」を提供開始しました。日本はCTやMRIの導入率が高く、医療機関では数多くの医用画像が撮影されています。一方で、画像診断を専門とする医師が在籍していない医療機関は少なくありません。「Medical Image Place」の「医用画像システムサービス」は、そうした医用画像をクラウドに保存し、必要に応じて閲覧できるため、遠隔地にいる専門医への画像相談も可能です。専用端末を施設内に設置すれば、クラウドの通信形態が各省庁のガイドラインに準拠した高度なセキュリティ環境を構築できるため、安心して利用していただけるのが強みの一つです。
この他「Medical Image Place」では、医療機関が持っている医用画像を保管する「医用画像外部保管サービス」、X線撮影装置などで撮影された健康診断の検査画像を専門医が読影し、結果レポートと健診システムを連携させる「健診向け遠隔読影インフラサービス」や、地域の診療所と拠点病院をクラウドでつないで検査や診療のオンライン予約から検査画像、結果レポートの共有までワンストップで提供する「地域連携サービス」なども利用可能です。
「Medical Image Place」は、医療従事者同士を結ぶインフラとして開発されましたが、将来的には個人の方にも活用していただけるサービスを展開したいと考えています。
現在医療データは医療機関が保管しており、今後検査結果などを患者にフィードバックされる情報は増加していく可能性が高いでしょう。健康保険やマイナンバーなどの情報も活用されるようになれば、生まれた時から介護を受ける段階まで、個人の医療データ全てを本人が一元管理できる時代もやってくるかもしれません。一元化された個人の医療情報は、異なる医療機関を利用したり、セカンドオピニオンを受けたりする際など、幅広い活用が想定されます。そうした情報の管理・活用基盤の一つとして「Medical Image Place」が利用され、他社の多様なサービスとも連携できるようになれば、キヤノングループの企業理念である「共生」を実現し、「世界の繁栄と人類の幸福のために貢献していくこと」につながると考えています。
「Medical Image Place」では、クラウドサービスによる遠隔地からの診断支援を行うための「遠隔読影インフラサービス」や、地域の診療所と拠点病院をつないで検査予約や画像共有ができる「地域連携サービス」など、幅広いサービスを提供している。