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トップ > ITのチカラ [Vol.15] 「2025年の崖」をいかにして超えるか > P1
2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」では、その中で指摘された「2025年の崖」に注目が集まった。日本ではDX(デジタルトランスフォーメーション)への対応が遅れており、このままでは2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が生まれるというものだ。目を向けるべき課題と取り組むべき施策について考える。
今回のポイント
ソリューションレポート
――近年、ビジネス環境の変革を語る上でDXが重要なキーワードになっています。DXについて教えてください。
経済産業省がまとめた『デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン』では、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。つまり、これまで業務の効率化のために使われてきたITをより広い範囲に適用し、競争力を高めていく取り組みということになります。そうした取り組みが進むことで、ITは事業の姿を変え、経営戦略にも深い関わりを持つことになります。
例えば航空会社の場合、以前は旅行代理店を通じて航空券を販売していましたが、現在では多くの人が航空会社が運営するECサイトから、直接航空券を買っています。DXが進んだ結果、航空会社は「運輸業」から「運輸・販売業」へと事業そのものが変化したわけです。当然、経営戦略も「運輸・販売業」であることを前提に変わらざるを得ません。一方、これまで代理店業や小売業は「売場」を持っていることが強みでしたが、今ではそれが弱みにすらなりつつあります。
従来のITは、業務を支えるものという位置付けでした。まず事業とそれを進めるための業務があり、ITシステムは業務を行うための「道具」でしかありませんでした。しかし、ITの適用範囲が広がったことで、ITの利用を前提に考えなければ、ビジネスの姿を描くことができないほどの存在になっています。
DXを推進していくには、ITの「業務を支える道具」という位置付けを改める必要があるでしょう。ITを事業、業務と対等に位置付けて考えなくてはならないということです。
こうした傾向は、急激に高まっています。今後はITと事業、業務を三位一体として考えてDXを推進し、市場の変化に即座に対応できる「DX企業」でなければ勝ち残ることはできません。
――経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」は、日本のDXの遅れを指摘し、「2025年の崖」に向けた対策の必要性を説いています。「2025年の崖」について教えてください。
DXの本質は「いかにITの可能性や制約に対応した方法をとるか」という点にあります。つまり「ITで何が可能になるのか」だけでなく、「ITでどんな制約が生じるのか」にも目を向けることが重要です。そこで日本企業の現状を見てみると、ITによる制約の方に目を向けざるを得ません。作ってから長い年月がたったITシステムがビジネス環境の変化に対応できず、それがビジネスの障壁になる場面が増えているのです。
障壁をつくっている大きな原因の一つが、レガシーシステムの存在です。レガシーシステムとは、構築から時間の経過とともに肥大化・複雑化、ブラックボックス化が進み、全貌と機能の意義が分からなくなったITシステムのことです。
ITシステムはソフトウエアとハードウエアで構成されますが、ソフトウエアには、作った後も機能を追加することで成長するという特徴があります。しかし、機能を追加すればするほど、どんどん複雑になっていきます。例えれば、建て増しによって本館、旧館、新館が複雑につながった旅館のようなもので、全貌がつかみづらく使い勝手も悪くなります。
ソフトウエアが動いているハードウエアに起きた技術変化も、状況を複雑にしています。日本でITシステムの導入が始まった当初は、メインフレームと呼ばれるハードウエアが使われていました。その後、サーバー・クライアント、仮想化、クラウドなど、新しい技術が登場しましたが、全てが新しい技術に置き換わったわけではありません。古いものも継続して使われています。つまりハードウエアでも、建て増した旅館のような状態が生まれているわけです。
「デジタルトランスフォーメーション」の現状と「2025年の崖」問題
① 「DXレポート」が指摘する「2025年の崖」
② ビジネスのデジタル化への取り組み
③ 日本企業におけるIT予算の配分
④ 日本とアメリカとのICT投資の違い
⑤ 進まないレガシーシステムからの脱却・更新
⑥ ユーザー企業におけるIT人材の確保
キヤノンITSが提供する「Web Performer」は、ローコードでWebアプリケーションを自動生成するマルチブラウザ対応の超高速開発/ローコード開発プラットフォームです。直感的な開発、素早いリリース、自動生成による品質の均一化などにより、開発期間が短縮でき、業務のエキスパートであるユーザー部門とシステム開発のエキスパートであるIT部門が参画する「共創型開発」を実現し、ビジネス環境の変化にも柔軟に対応したシステム構築が可能となります。