写真集制作レポート

第1回SHINESに入選した8名が、いよいよ写真集を制作していきます。写真を「撮る」こと、「選ぶ」こと、そして「写真集」という本に仕上げること。それぞれに別の視点が必要です。「写真」から「写真集」へ。その制作過程は自問自答の連続でした。少しずつゴールを見出していく彼らの一部始終をレポートします。

個別ミーティング/
Photographer 藪口雄也氏 Vol.1

1st meeting

藪口氏は、「初めて『死』を意識した金魚。少しずつ自分をなくしていった祖父。いつか辿り着く未知のその時をイメージし、自分の中で動いたものを写しとり、色情報に左右されない世界観を表現したいと考えモノクロで構成したい。」と考えています。

作品の方向性が固まったので、出力に向けて話が進んでいきました。藪口氏の作品では、「黒のしまり」が重要になるため、DreamLabo、VarioPrintの2機種を使い、出力サンプルを出すことになりました。ハーフトーンのある作品など、仕上がりが気になるものを5枚選び、DreamLaboでは専用紙のサテン、VarioPrintではコート紙とヴァンヌーヴォーを使用し、それぞれA3/B4/A4のサイズで出力して、次回のミーティングで検討することとなりました。

2nd meeting

預かったデータに修正をかけず、そのままDreamLaboとVarioPrintで出力し、比較しました。少し緑がかった仕上がりで出てきたと感じている藪口氏に対し、グラフィックデザイナーの町口氏は次のようにアドバイスしました。「色の調整というのは難しいものです。これからは自分でオペレーターと交渉し、色を近づけていく作業が必要になります。オペレーターによっては、藪口さんの指示に対して、気をよくしない人もいるかもしれません。『上手く巻き込む、協力してもらう』というコミュニケーション力も、写真家にとっては重要なものとなります。」

藪口氏は、今のダミーブックと比較するため、SHINESに応募する前に作成したダミーブックを持参しました。A3サイズは、読者にとって見るのが少し難しいサイズで、A4サイズならしっくりくるのではないかと感じています。写真集の方向性が決まっている藪口氏。次回のミーティングでは、サイズ違いでマケットを作り、比較検討することとなりました。

※マケットとは写真集の試作のこと。