写真集制作レポート

第1回SHINESに入選した8名が、いよいよ写真集を制作していきます。写真を「撮る」こと、「選ぶ」こと、そして「写真集」という本に仕上げること。それぞれに別の視点が必要です。「写真」から「写真集」へ。その制作過程は自問自答の連続でした。少しずつゴールを見出していく彼らの一部始終をレポートします。

個別ミーティング/
Photographer 北上奈生子氏 Vol.2

3rd meeting

再度自分の方向性を見つめ直していった結果、沖縄を取り巻く環境が、自分のベースにあることを改めて認識した北上氏。作品の中で、下を向いている花は、空から落ちてくるミサイルに見えてくると彼女は言います。しかし沖縄の写真を暗くとらえるのではなく、思いを文章に載せて、明るい写真集を作りたいと考えています。

3冊目のマケットは横位置で、余白も計算して作成することとなりました。

※マケットとは写真集の試作のこと。

同時に、写真集に使う印刷紙の検討を始めました。DreamLabo 5000の専用紙である3種の用紙からサテン、ラスターを選び、次回のミーティングでは、3つの異なる判型(A3/B4/A4)でテスト印刷を行ったものを確認していきます。

4th meeting

北上氏を選出した代官山 蔦屋書店の江川氏を招き、販売側の立場でサイズや価格についてアドバイスをいただきました。写真集のサイズは、B4サイズが店頭で一番売りやすい、というアドバイスもありましたが、今回作る写真集の戦略的な使い方も考慮し、A3サイズで作ることとなりました。

写真集のタイトルも決定し、各ページの内容をどうするか、話は台割へと移行。タイトルや文章などを、どのように挿入するか決めていきます。

5th meeting

グラフィックデザイナーの町口氏のアドバイスもあり、ついに表紙のデザインを決定した北上氏。いよいよ最終段階というところで、写真集に挿入する文章について、長時間悩むこととなりました。自分の写真を言葉にし、表現すること。それはまさにSHINESで求められる資質のひとつでもあります。

悩んだ末に彼女が作り上げた文章は、写真集にとって不可欠な要素でした。「6チャンネル」と題されたその写真集は、彼女の気持ちから生まれた写真と、写真集を見た第三者の感情が、繋がることを意図しています。その繋がりを担う文章を加えることで、写真集は完成となりました。