写真集制作レポート

第1回SHINESに入選した8名が、いよいよ写真集を制作していきます。写真を「撮る」こと、「選ぶ」こと、そして「写真集」という本に仕上げること。それぞれに別の視点が必要です。「写真」から「写真集」へ。その制作過程は自問自答の連続でした。少しずつゴールを見出していく彼らの一部始終をレポートします。

個別ミーティング/
Photographer 石井靖久氏 Vol.3

4th meeting

医師である自分と、写真家である自分を一致させたことにより、新たな表現方法を見出した石井氏。細胞や組織を顕微鏡で詳細に観察する際に使う「染色」という医学的な技法を、写真にも試みました。

染色したプリントをどう写真集に落とし込むかを検討し、顕微鏡観察のように再撮影することが最適だと考え、テスト撮影を実施しました。

透過光源、写真、カメラを用いたテスト撮影に手応えを感じた石井氏。次回の打ち合わせでは、実際に染色した写真を再撮影・プリントして、チェックすることになりました。

5th meeting

写真集に使用する紙を決定するために、DreamLabo 5000の専用紙である、光沢紙、サテン、ラスターのサンプルを確認。石井氏が染色したプリントのイメージに近いサテンを選びました。

続いて、選んだ82点の作品をプリント、染色、再撮影を実施。写真選定だけではない、大量の工程が必要になった石井氏は、医師としての仕事を両立しながらもスケジュールを調整して、予定通りに作成することを約束します。

「石井さんの今回のようなコンセプチュアルな作品はステートメントを読んでから見るのと、読まずに見るのとでは印象がまったく異なります。『言語化』することが、この作品にとってとても重要になります」とグラフィックデザイナーの町口氏は言います。作品の工程も含めて、ステートメントで論理的に説明すること。そして海外マーケットを視野に入れ、英訳することも求められました。