写真集制作レポート

第1回SHINESに入選した8名が、いよいよ写真集を制作していきます。写真を「撮る」こと、「選ぶ」こと、そして「写真集」という本に仕上げること。それぞれに別の視点が必要です。「写真」から「写真集」へ。その制作過程は自問自答の連続でした。少しずつゴールを見出していく彼らの一部始終をレポートします。

個別ミーティング/
Photographer 赤木遥氏 Vol.3

6th meeting

いよいよ束見本を確認することになった赤木氏。完成形に近づいたこともあり、赤木氏を選出したコマーシャル・フォト統括編集長 川本氏に同席いただきました。
「どこの家にも、お父さんやお母さんが作ったアルバムがある。そういうのを見ている感じ。すごくプライベートな感じが出ていて、ささやかな感じでいい。感情が揺さぶられました」と川本氏は言います。

赤木氏は、フィルムの縁が出るように再プリントして余黒を出し、より写真を見てもらえるように工夫を凝らしました。また、地色に黄色をのせたことが、赤木氏の理想に近づく結果となりました。束見本が完成したので、次は写真集のカバーを決定します。

【赤木氏によるカバーのアイデア】

  • 静かな写真集にしたいので、カバーには写真を入れず、色も白地に
  • 作家名を入れず、タイトルのみ

次回の打ち合わせでは、カバーの部材を確認することとなりました。

7th meeting

サンプルを確認し、アルバムのような少し厚めの素材をカバー部材に採用することに決定しましたが、グラフィックデザイナーの町口氏より、「タイトルをもう一度とことんまで考えてほしい」という提案があがります。写真集を制作する中で、今あるタイトルありきで進んでいたものを壊すことにより、新たなアイデアを出したり、写真集の見え方を変えたりするためです。

【グラフィックデザイナー町口氏より】

自分がなぜ、そのタイトルにしたかを語れることはとても重要です。どうして今のタイトルなのか。一度立ち返って考え直してみましょう。極端かもしれませんが、代案を100通り考えるくらいの気持ちで挑戦しましょう。タイトルによっては、戦略的にアプローチできるかもしれません。

また、タイトルを語れるようになった時、表記は日本語がいいのか、英語がいいのか、大文字か小文字のどちらにすべきか、といった明確な答えが出てくるようになります。

再度立ち返って考え直すことを提案された赤木氏。その後、約3週間かけて多くのタイトルを考え出しました。結果、「love letter」で決定し、入稿することとなりました。いよいよ写真集の完成です。