写真集制作レポート

第1回SHINESに入選した8名が、いよいよ写真集を制作していきます。写真を「撮る」こと、「選ぶ」こと、そして「写真集」という本に仕上げること。それぞれに別の視点が必要です。「写真」から「写真集」へ。その制作過程は自問自答の連続でした。少しずつゴールを見出していく彼らの一部始終をレポートします。

個別ミーティング/
Photographer 石井靖久氏 Vol.5

7th meeting

染色した布を持参した石井氏。布の種類によって染色した結果が大きく異なることがわかりました。色が沈んでしまうもの、染めた直後とある程度時間が経ったあとでは色味が変わってしまうもの、同じ条件では染色液を弾いてしまうものなどがあり、布ではイメージに近づけることが難しいことがわかってきました。

そこでグラフィックデザイナーの町口氏は塗工されていない紙に染色することを提案しました。この時点で約3週間となっていたパリフォトに間に合わせるため、表紙の染色は次回のミーティングで決定することに。同時進行で英訳も進め、タイトルを「染める」の意味合いから「Staining」に決めました。

原稿とタイトルの提出ができ次第、町口氏の組版が始まります。パリフォトをターゲットに、すべてが急ピッチで進んでいきました。

8th meeting

提案された紙と染色液の相性がうまく合い、表紙も完成しました。ステートメントは何度も何度もチェックし、修正を重ねて最終決定。「どこかに間違いがあることが多い。原稿は幾度もチェックして、本当にこれで完成なのか疑って見てください」と町口氏は言います。

自分自身を再度見つめ直すきっかけとなった初回の打ち合わせから約1年。写真の選定を行いながら、新しい表現方法を見出したことで新たな作品は生まれました。コンセプトに合ったステートメント、表紙の作成などについて打ち合わせを重ねる中で、新しい発見があり、石井氏は大きく成長していきました。

そして、写真集は完成。念願のパリフォトでの発売にこぎ着けることができました。