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トップ > Cのキセキ Episode.18 「プロダクションプリンティングソリューション」 > P3
歴史が長く、技術的にも市場的にも成熟している印刷業界。そこで「デジタル」による大きなうねりが起きている。そんな変化の時代に「商業印刷」の分野で積極的な取り組みを進めているのがキヤノンだ。その最前線にある注目の施設「CEC Tokyo」と新会社「コマーシャルプリンティングラボ」を訪れ、現状キヤノンがその先に描く未来について聞いた。
「『CEC Tokyo』の"E"は"エクスペリエンス(体験)"。ここではビジネスで印刷に携わる方々に、最新のデジタル印刷機でできることを体験していただけます」
プロダクションプリンティング市場に対し、コンサルティングや幅広い製品の提供のほか、システム開発から販売、サポート、印刷サービスまで一貫したソリューションを提供するキヤノンプロダクションプリンティングシステムズは、この「CEC Tokyo」の運営も担当している。
施設内には、キヤノンやオセの最新デジタル印刷機に加え、印刷を管理するサーバーシステムや、後加工機と呼ばれる断裁機や製本機までが揃っている。例えばカタログや書籍の印刷であれば、印刷データの事前準備から印刷、製本までの工程を「一気通貫」で体験できる。
「実際に使用しているデータや用紙を持ち込んでいただければ、印刷スピードや品質を体感できるだけでなく、準備にどのくらいの時間がかかるのか、オペレーションに何人のスタッフが必要かなど、カタログのスペックだけでは分からない運用面のシミュレーションが行えます」
例えば、オセの高速カラーインクジェットプリンター「Océ ImageStream 2400」は、1200dpiで1分間にA4を2154ページ印刷できるが、実際に稼働している様子を見ると、スペックから分かるスピードや品質だけでなく、簡便で整然としたオペレーションやスムーズな製本工程までの流れなど、インクの匂いと印刷機の騒音という"印刷工場"のイメージとは無縁であることに驚く。
さらに野﨑は、体験から新しいアイデアが生まれることを期待しているという。
「例えば携帯電話の請求書は同じフォーマットですが、数百万、数千万というユーザーに全て異なる内容の印刷物が届けられています。これまでは台紙の部分を印刷してから別の印刷機で名前や金額などを印刷していたのですが、デジタル印刷機の速度と品質が向上したことで、台紙の共通フォーマットと個別の情報を一緒に印刷できるようになりました。その結果、フォーマットや内容の自由度が上がり、単なる請求書ではなく、より効果的なマーケティングツールとして活用できるようになるのです」
こうした新世代のデジタル印刷機が登場して以来、マーケティングや流通など、異なる業界から新たに印刷事業に取り組む企業も増えているという。
「デジタル印刷ならではの新しいアイデアが、『CEC Tokyo』という体験の場があることで生まれる。そんなことも期待しています」
Océ VarioPrint i300
デジタルプリントに革新をもたらす高速カット紙インクジェットプリンター。カット紙プリンターでありながら、最大A4両面300ページ/分の出力速度で、安定した高速出力と高い生産性、低いランニングコストを実現している。また、独自の印刷方式によりコート紙を含めたさまざまな用紙へ印刷が可能で、商業印刷分野の多様なニーズに対応する。
Océ ColorStream 6000 Chroma
最大6色インクを搭載可能なフルカラー連帳インクジェットプリンター。導入後にアップグレード可能な仕組みを採用しており、1色モノクロ機としてスタートし、業務拡張に合わせてカラー機にアップグレードできる柔軟性が特長。初めてデジタル印刷を導入する印刷会社や、新規に印刷事業に参入する企業に適した製品。
Canon imagePRESS C10000VP
オフセット印刷に迫る2400dpiの高精細画質のオンデマンドプリンター。高精細で鮮明な画質を毎分100枚(A4)のスピードで出力できる。業務に合わせた後加工オプションとの柔軟な組み合わせも特長で、中綴じや平綴じなどの製本やZ折りなど多様な加工方法に対応できる。
業務用印刷機の幅広いラインアップを持つオセは、印刷ボリュームが多く高速な印刷などに強みを持つ企業。一方キヤノンはオフィス向けの複合機やデザイン事務所向けに高品質なプリンターを提供してきた。それぞれの特長はデジタル印刷機の領域にも引き継がれ、両社の製品ラインアップによって、高品位小ロットから大量・高速印刷まで、デジタル印刷の幅広いニーズに対応できるようになっている。