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キヤノンが「想像を超える高画質」を実現し、映像表現の新しい可能性と価値を提供するため、「EOS Rシステム」を世に送り出してから約1年。多くのユーザーにこれまでにない撮影体験をもたらす新しいイメージングシステムとして迎えられた。この新システムの中核として開発された「RFレンズ」に携わる担当者たちは、いかにして大きな革新を起こしてきたのだろうか。

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  • 2019.12.01

Episode.27 「RFレンズ」

生産現場でも貫かれる高い理想への挑戦

写真:郷 勇 キヤノン(株)のイメージコミュニケーション事業本部でカメラ用交換レンズの生産部門に所属する郷 勇

変わったのはレンズそのものだけではない。光学技術者のモチベーションも変わってきたという。

「『RFマウント』によって光学設計の自由度は格段に上がりました。ですが、それで設計が簡単になったわけではありません。できることが増えた以上、期待を上回る『誰も見たことがないレンズ』に挑戦できる環境が整ったのだと考えています」

冷静にものづくりに向き合う技術者の心を動かす「EOS Rシステム」による変化は、生産現場にも広がっている。

カメラのレンズは数百点の部品で構成されているが、キヤノンでは素材の手配から加工、組み立て、品質検査まで多くの工程を自社で行っている。そして「RFレンズ」の生産では、これまでにない精度が要求されているという。

中でも重要なのが品質管理だ。いかに設計が優れていても、生産時の精度が低ければユーザーはそのメリットを享受できない。生産現場の管理を担当するキヤノンの郷 勇は、高い品質を実現できている理由はキヤノンならではの体制にあると話す。

「設計部門と生産部門の緊密な連携が、キヤノンの特徴です。特に『RFレンズ』では設計の段階から生産部門も検討に加わり、生産に必要な治具や高い光学性能を実現する光学調整器や検査機器の、設計や製作を一緒に行いました。だからこそ、高い品質での生産が可能なのです」

キヤノンは、カメラ本体やレンズ、さらにはカメラに使われるCMOSセンサーなどの半導体まで自社で生産しているが、さらに生産に必要な工具や品質検査用の機器までも自ら作っているのだ。

「従来の『EFレンズ』の生産でも、生産工程の改善は進めてきました。さらに『RFレンズ』では、設計段階からプロジェクトに参加したことで、従来とは違った視点からの改善策が現場から上がってくるようになりました。今後は生産部門であっても設計のより上流から参加してレンズ設計について理解を深め、品質向上につなげたいと考えています」

「想像を超える高画質」を実現するレンズが生まれる理由は、設計と生産の距離の近さにも秘密があったのだ。

阿部は、今後の展開についてこう話す。

「約1年で10本の『RFレンズ』をラインアップしましたが、まだまだユーザーの期待に応えきれていないと感じています。これからもラインアップの強化に取り組み、より多くの選択肢を提供していきます。どんなレンズが登場するのか、私たち自身もワクワクしています」

これからも「誰も見たことがないレンズ」が、「EOS Rシステム」の世界を広げていくことになりそうだ。

画像:スマートフォン・タブレット専用アプリ「LENS HANDBOOK」

スマートフォン・タブレット専用アプリ「LENS HANDBOOK」
「RFレンズ」をはじめとするキヤノンの交換レンズのスペックや機能、作例などを閲覧できるスマートフォン・タブレット専用アプリ「LENS HANDBOOK」では、実際の作例を動かしてズームレンズの画角の変化を確認できる。撮影方法やレンズの使いこなしに関するテクニックやレンズ開発者のインタビュー、最新ニュースやイベントに関する情報も配信されている。

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