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トップ > 特集 Canon EXPO 2023 > P4
デジタルイノベーションによって、産業や社会、働き方や暮らし方までもが大きく変わろうとしている。そのような中、キヤノンは、時代の要請やビジネス環境の変化に適応し、生まれ変わったキヤノンの姿、そしてこれからも変化し続ける姿を示すため、8年ぶりに「Canon EXPO 2023」を開催。キヤノンの技術が描く新たな社会の可能性を紹介した本イベントの模様をお伝えする。
「ホリスティックの森」「シナジーの泉」を囲うように設けられた「ソリューションの広場」は、これまで紹介してきた4つの産業別グループから生まれた製品やサービスが、実際の社会や暮らしでどのように役立っているのか、そしてこれからの時代の新たな課題に向けてどのような解決策を用意しているのかといった点を、具体的なユースシーンを挙げながら紹介するエリアだ。
会場では「『つくる』のこれから」と「『くらす』のこれから」の2つのテーマに分けられ、前者では主に製造や開発、農業といった、ものづくりの現場に向けたソリューションが、後者では生活に新しい体験や安らぎをもたらすソリューションが数多く展示された。テーマや展示されているソリューションが身近なこともあり、熱心に質問をする来場者が多かった。
エレクトロニクス産業を支える多彩な製造装置とソリューションにより、"ものづくり"の進化への貢献を紹介
製造や開発、農業といったものづくりの現場においては、国内の労働人口の減少を受け、省力化や省人化、そして生産性の向上といったニーズがさらに高まっている。キヤノンは、そうした現場の要望に応えるため、ネットワークカメラやミラーレスカメラといった多彩な映像機器や、先進のIT技術などを活用したさまざまな映像ソリューションを提案している。
例えば「映像DX」のコーナーでは、工場などの製造現場において、生産ライン工程をネットワークカメラで撮影し、映像管理ソフトウエアで録画すると同時に映像にマーキングすることで、トラブル発生時の原因究明にかかる時間の短縮を図る「作業工程トレーサビリティ」を紹介。また、作業者の動作や組み立てパーツを画像解析してデータ化することで、作業者の負担軽減や作業の効率化、品質向上を図る「作業者の動作分析」のデモなどが実施された。
キヤノンは「スマート農業」にも取り組んでおり、イチゴの生育の見える化、収量予測や品質の向上、さらには収穫量や時期の予測を実現する実証実験の取り組みも紹介された。農家の負担軽減や生産性向上を図ると同時に、気候変動への対応や食品ロスの防止といった社会課題の解決を目指す。
キヤノンは、こうした幅広い映像ソリューションを活用して「創造と効率の壁を超えていく」ことで、作業負荷を軽減し、人が本来持つ創造性を存分に発揮できるステージへと導いていくというわけだ。
キヤノンは「『つくる』のこれから」のもう一つの側面として、働き方のアップデートを目指したソリューションの開発も積極的に進めている。場所の制限やスキルの有無といった条件に左右されることなく、働く人が力を最大限に発揮し、より迅速かつ効率的に生産性の高い仕事を実現できるようにする。こうしたニーズに対して、キヤノンはこれまで培ってきたイメージング技術や先進のITを活用したソリューションの提供に注力している。
例えば、デジタルドキュメントサービスの「DigitalWork Accelerator(デジタルワークアクセラレータ)」は、これまでバラバラに管理されていた取引関係書類の一元管理を可能にしてくれるソリューションだ。業務の効率化やセキュリティ向上、ガバナンス強化を実現。改正電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応しており、業務プロセス変革と経営資源である業務データの利活用の推進が可能になる。
クラウド型のテレワーク支援サービス「テレワークサポーター」は、パソコンのカメラに映る画像を顔認証技術や画像解析技術を活用して常時顔認証を行うことで、長時間労働や情報漏洩を防止することができる。さらに、画像からのストレス状況の測定や感情の可視化によってメンタルヘルスケアを促すサービスの開発も進めているという。
その他にも、店舗向け業務支援や遠隔患者ケア、プリント商材制作、さらにはWeb会議やプリンター保守業務のDXなど、あらゆる分野で新たな働き方を実現する多彩なソリューションが展示された。
「ソリューションの広場」エリアにおけるもう一つの主要テーマである「『くらす』のこれから」。ここではキヤノンが持つ先進のイメージング技術を活用したソリューションの数々が展示された。
例えば、複数のカメラの設定や制御を容易にする「マルチカメラ撮影連携」や、報道現場の制作を支援する「報道制作支援」、圧倒的な臨場感を実現する「EOS VR SYSTEM」や、100台以上のカメラ映像から3Dデータを生成する「ボリュメトリックビデオ」、1度の撮影で高精細立体画像を取得できる「EOS画質2D・3D変換」。
こうした多様なイメージング技術を、現場のニーズに沿って組み合わせながら提供していくという。
キヤノンは、災害対策や都市活動の見守り、社会インフラの点検や緊急時の医療データ連携といった分野においても、課題解決の取り組みを進めている。
自治体などでの活用も期待される「公共安全ソリューション」もその一つだ。「カメラ地図連携アプライアンス」は、災害発生時にカメラと連携させた地図からカメラを遠隔操作し、発生場所などの映像を瞬時に確認できる。超高感度カメラの導入により、夜間でも迅速な情報収集と意思決定が可能になる。
「ヘルスケアIT」では、活動量計やスマートウォッチなどで収集したデータをAIで解析し医師と連携するソリューションや、医療情報ガイドラインへの対応を包括的に支援するクラウドサービスなどを紹介。業務効率化や情報セキュリティへの対応、省力化・省人化による医療資源活用の最適化、遠隔医療の課題解決などを図り、迅速かつ適切な医療の実現を可能にすることが考えられる。
キヤノンが創業以来磨き続けてきたイメージング技術と先進のITを組み合わせ、人々の安心と安全を守ることに生かす。これはキヤノンに与えられた"使命"ともいえる領域だ。今後もさらなる進化が期待される。
ここまで紹介してきた「Canon EXPO 2023」を、Web上で体験できる「Canon EXPO 2023 オンライン」も開催。オンラインならではの特別企画も用意され、横浜で展示会を見た人も楽しめる。
会期:2023年10月18日~12月26日
「Canon EXPO 2023 オンライン」では、パシフィコ横浜ノースで開催された展示会の内容だけでなく、「ホリスティックの森」で紹介した技術をインタラクティブに体験できる「Alice in Holistic World」をはじめとする5つの特別企画や、タレント・モデルの谷まりあさんの体験レポートなどのオリジナルコンテンツも用意され、すでに会場で展示会を見た人でも楽しめるようになっている。
また、展示会開催時に実施されたセミナーもオンデマンド配信で視聴できる。天文宇宙分野への取り組みや、有機ELディスプレイ蒸着装置に関する技術、業務プロセス変革を可能にするソリューションなど、最新のキヤノンの技術や取り組みについて理解を深めたい人にもお薦めの内容だ。