カテゴリーを選択

トップ > 特集 特別対談「勝てる組織」佐々木則夫さん×坂田正弘 > P5

特別対談「勝てる組織」佐々木則夫さん×坂田正弘

女子サッカーの代表チームを率いてチームを「勝てる組織」に育て上げた佐々木則夫さん。
体格やパワーで劣る日本人女性がなぜ世界に伍して戦うことができるのか。そして、そこで監督やリーダーが果たしている役割とは──。
名将・佐々木監督と、キヤノンマーケティングジャパン代表取締役社長坂田正弘が、「強い組織」のあり方をめぐって熱く語り合った。

  • Twitter
  • Facebook
  • 特集
  • 2016.03.01

特別対談「勝てる組織」
佐々木則夫さん(プロサッカー監督)×坂田正弘(キヤノンマーケティングジャパン株式会社 代表取締役社長)

女性が生き生きと活躍できる文化や仕組みを

写真:被災地支援事業サッカークリニック 自然災害で被災した地域の子どもたちにサッカーを教える「被災地支援事業サッカークリニック」を毎年開催している 写真:福島・いわき市 次世代の育成にも熱心に取り組んでいる。年に3回は生まれ故郷の山形・尾花沢市に帰郷し、小学生にサッカーを教えている。写真は福島・いわき市での様子

坂田

日本の女子スポーツは、この10年ほどでかなり底上げされたと感じます。

佐々木

日本のスポーツ界では、長い間男子スポーツに投資が集中していましたが、徐々に女子スポーツへの投資も増えてきて、以前とは比べものにならないくらい環境が整備されてきています。

それに伴って、女子選手も結果を出せるようになりました。何より、女子選手が自信を持てるようになったことが大きいと思うんです。

女子スポーツの指導者であるわれわれも、選手がより自信を持てるようにサポートしていかなければなりません。それによってさらなる努力が生まれ、それを見ている人たちももっと応援してくれるようになる。そんないい循環を作っていきたいですね。

坂田

女性の活躍を後押しするというのは、まさに私たちにとっても大きな課題です。現在、結婚や出産などをきっかけにキャリアアップのチャンスを残念ながら失ってしまうケースがまだあるのが現状です。

女性が会社の中で生き生きと活躍できる文化や仕組みを作っていかなければならないと感じています。

佐々木

女子代表の中にも以前、ベビーシッターに子どもを預けながらチームに参加している選手がいました。スポーツだけではなく、社会全体でそういうチャンスをもっと増やしていかなければなりませんよね。

女性が活躍できる可能性はまだまだあるはずですから。

坂田

最後に、佐々木さんのこれからの目標をお聞かせください。

佐々木

現在のチームをさらに強くすることが当面の目標ですが、長期的には、日本女子サッカーの裾野をもっと広げていきたいと思っています。

以前、女子サッカーの選手数は日本全体で3万5000人くらいだったのですが、現在は4万5000人まで増えています。

しかし、ドイツでは20万人、アメリカでは160万人もの女性がサッカーをやっています。日本女子サッカーの母数は圧倒的に少ないのですが、それでも世界と戦えているわけです。

母数が増えれば、ますます強くなるに違いありません。女子サッカーに関わる立場として、このスポーツをさらに広めることに寄与したい。そして自分を育ててくれたサッカーに恩返しをしたい。それが私の目標です。

坂田

ぜひこれからも、日本のスポーツ界を盛り上げていってください。

佐々木 則夫(ささき のりお)
1958年山形県生まれ。NTT関東サッカー部で選手として活躍する。90年に現役を引退し、大宮アルディージャなどでコーチ、監督を歴任。2006年に日本サッカー協会なでしこジャパン(日本女子代表)のコーチに就任。07年に監督に就任、翌年の東アジア女子サッカー選手権に優勝。日本初のタイトルをもたらす。同年北京五輪でベスト4。11年には、FIFA女子ワールドカップで日本サッカー初の世界一に導いた。FIFAバロンドール女子最優秀監督賞、国民栄誉賞他、受賞歴多数
坂田 正弘(さかた まさひろ)
1953年東京都生まれ。77年キヤノン販売(現キヤノンマーケティングジャパン)に入社。大手法人直販部門を経て、2002年に金融営業本部長に就任。早くから「ソリューション型ビジネス」を展開することに注力し、グループ間の連携などに努める。その後、03年ビジネスソリューションカンパニーMA販売事業部長、06年取締役、13年専務執行役員、ビジネスソリューションカンパニープレジデントを経て、15年3月より現職

C-magazine サイト トップページに戻る

PDFで閲覧する場合は、デジタルアーカイブスへ

このページのトップへ