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トップ > 特集 選ばれる企業になるために デジタル時代の顧客深化論 > P3
コミュニケーションツールとしての 「デジタル」の役割がいよいよ大きくなっている。より豊かで、より深く、より継続的な関係を顧客と結ぶために、デジタルでできることとは何か──。デジタルコミュニケーションの最新事例を探る!
メガネは、実際に着けてみないとかけ心地や顔とのフィット感が分からない商品だ。レンズの度数、厚み、色などもユーザーによってさまざま。だから、メガネはECに最も向かないアイテムのひとつである──。そんな常識に立ち向かうように、5年前にEC専業でメガネ販売をスタートさせたのがオーマイグラスだ。現在では5カ所の直営リアル店舗を展開しているが、依然、売り上げの半分はECによって占められている。不可能といわれたメガネ通販に同社が成功している理由はどこにあるのだろうか。
ネットで顧客を獲得するために同社が力を入れているのが、「OMGプレス」というWebコンテンツだ。マーケティングマネージャーの布施智美さんは話す。
「メガネのポータルサイトというコンセプトで、弊社で取り扱いのないブランドも幅広く紹介しています。また、“就職の面接にふさわしいメガネ選び”や“メガネに似合う髪型”など、いわゆるお役立ち系の記事を増やして、オーマイグラスのファンになっていただくことを目指しています」
「OMGプレス」が見込み顧客との最初の関係をつくる接点であるとすれば、関係をより深めるために用意しているのが、「試着」や「コンシェルジェ」といったWebサービスだ。メガネを5日間、最大5本まで無料で貸し出しするのが試着サービス。自宅などでかけ心地や印象を確認してもらうことで、本当に自分に合ったメガネを選んでもらうことを目指している。一方のコンシェルジェサービスは、フォームで質問に答えると、おすすめのメガネを丁寧にアドバイスしてもらえるというもの。これも利用は無料だ。
「リアル店舗で提供しているようなサービスをWeb上でもご提供したいと考えました。関係を深めていくためには、製品やサービスを実際に体験していただくことが欠かせないと思います」
ほかにも、現在使用しているメガネを送ってもらい、新しいレンズに替える「レンズ交換サービス」や、サイズから製品を検索できるサービスなど、さまざまな接点を用意して、見込み顧客との関係づくりに注力している。
「メガネは、そうたびたびご購入いただける商品ではありません。買い替えやレンズを交換するタイミングになったときに、いかにオーマイグラスを思い出してアクセスしていただくか。そこに私たちのチャレンジがあります」
試着サービスから購入に至る動線を強化していくことが現在の課題だ。サイトの利用者が増え、ネットでメガネを購入することの利便性を多くの人に実感してもらえれば、ECでの売り上げはさらに伸びるはず。そう布施さんは言う。「メガネをネットで買う」という新しいスタイルを定着させるために、オーマイグラスのデジタル施策はまだまだ続く。