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トップ > 特集 選ばれる企業になるために デジタル時代の顧客深化論 > P4
コミュニケーションツールとしての 「デジタル」の役割がいよいよ大きくなっている。より豊かで、より深く、より継続的な関係を顧客と結ぶために、デジタルでできることとは何か──。デジタルコミュニケーションの最新事例を探る!
企業のWebサイトを訪れる人のマインドは一様ではない。会社や商品の情報を知りたいという人もいれば、積極的な購入意向を持ってアクセスしてくる人もいる。また、商品購入後の顧客が、サポート情報や他商品の情報を求めてWebを閲覧するケースもあるだろう。
多様な来訪者のそれぞれと緻密なコミュニケーションを行うには、来訪者の目的やニーズに応じたコンテンツを取り揃えることが必要になる。メットライフ生命のWebサイトは、その点でひとつのお手本になるメディアといっていい。
「保険会社のサイトは、3種類のプラットフォームの機能を持つべきだと考えています」と話すのは、デジタルマーケティング部の部長、寺田裕一さんだ。
「ひとつは、企業や商品の情報を網羅的に伝える“インフォメーションプラットフォーム”。二つ目は、Webからの資料請求や申し込みを実現する“セールスプラットフォーム”。三つ目は、契約後のお客さまとの関係を継続的に深めていくための“CRMプラットフォーム”です」
例えば、「メットライフ生命が米国で誕生した1868年に、坂本龍馬が保険に出会っていたら」といったストーリーで保険の本質に迫る「龍馬 meets MetLife」は、保険商品に興味を持ち始めた人に向けて会社の姿勢やブランドを伝えるインフォメーション系のコンテンツだ。一方、性別、年齢、家族構成などから保険契約をシミュレートできる「保険おすすめナビ」は、資料請求や申し込みなどに直結するセールス系コンテンツ。既契約者のコミュニティーである「メットライフクラブ」は、CRM系コンテンツに位置付けられる。三つのプラットフォームのほかに、既契約、資料請求中など、ユーザー段階に応じてメールマガジンも配信している。成果指標は、ユニークユーザー数やページビューなどコンテンツによって異なる。最も分かりやいのは、セールス系コンテンツに期待される資料請求や申し込みの件数だが、Webで完結させるモデルが全てではない。
「保険契約にはさまざまなチャネルがあります。例えば、Webで資料請求をした方が電話で申し込むケースもあるし、弊社のコンサルタントとの窓口での対話の中で契約を決めてくださる方もいらっしゃいます。重要なのは、Webがそのような多様なコミュニケーションフローのハブになることだと考えています」
Webをひとつの接点とし、そこから多様な動線が生まれる。その動線をより確かなものにするには、来訪者が目的に合ったコンテンツをすぐに見つけられるよう、サイト構成を機能的かつシンプルにする必要があると寺田さんは話す。
「今後、スマートフォン対応のサイトが構築できれば、ネット経由の保険申し込みはもっと増えるはずです」
より使いやすいサイトを目指して、挑戦は続く。