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トップ > 特集 平成時代のマーケティングから次世代のヒントを探る > P4
急速に情報化が進み、消費者ニーズが多様化。平成が幕を閉じようとしている今、有識者に話を聞き、ヒット商品とITの目線で平成を振り返り、次世代につなぐヒントを探る。
このように、インターネットが30年の間に社会生活に影響を与えながら飛躍的に成長を遂げたのは、情報の無限さゆえです。元来、ビジネス界のセオリーとして、金や石油がそうであったように、物理的な総量が決まっているものは、それが枯渇すると成長は止まります。しかし、インターネットが扱う情報は枯渇することがないため、成長が永遠に続くのです。
その結果、ビッグデータが誕生しました。データは集まると、データが自ら価値をクリエーションし、データを生み出していきます。例えば、一人ひとりが銀行でどのようにお金を使ったかという情報が集まれば、その人の信用情報になる――。日々の血圧のデータが集まれば、その人の保険情報になる――。若者の味覚の嗜好が集まれば商品開発の一助になる――。こうしたビッグデータの活用は、平成終期に始まったばかり。有用性は未知数ですから、次の世で真価が問われていくでしょう。
コンピューターの記憶容量と処理能力も向上し、インターネットの領域は、間違いなく進化し続けます。しかし、デジタル化が加速するほど、AIでは処理できないクリエーティブな発想やホスピタリティなど、アナログの価値が再評価されるかもしれません。例えば、キャッシュレス化が進む中、現金の価値が見直されてきています。デジタルのキャッシュを使う限り、24時間どこで何を購入したかという履歴情報が晒され続けることになる。それに気付いた消費者が、足跡の残らない現金での決済に魅力を感じ始めたのです。今後は消費者がシーンに応じて現金かキャッシュレスかを選択して使用する時代になります。
このように、急速なデジタル化の反動で、次の時代にはデジタル空間では表現できないモノやコトに、スポットが当てられるのではないかと注目しています。