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SDGsがビジネスを変える!

2015年の国連サミットで採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」。近年、この言葉が企業経営のキーワードとして急速に浸透している。今、日本企業がSDGsに取り組むメリットとは何なのか。また、SDGsを効果的に導入するポイントはどこにあるのか。いち早くSDGsに取り組んできたフロントランナーに、その核心を尋ねた。

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  • 2020.06.24

SDGsがビジネスを変える!

ケーススタディ3
パートナーとの共創でSDGsを達成する
会宝産業

自動車のリサイクル事業を通じて循環型社会の実現を目指す会宝(かいほう)産業。一方、SDGsについては全くの門外漢で、「入社2年目の社員にSDGsのイロハを学んだ」という。そんな同社の取り組みが、国際的に評価されるまでの道のりを聞いた。

写真: 会宝産業

2018年の「ジャパンSDGsアワード」を受賞するなど、SDGsへの取り組みが高く評価されている会宝産業。不要になった自動車を解体し、まだ使える部品を国内外約90カ国で販売している。

「会宝産業では、創業者である先代の頃から、モノをつくって売る『動脈産業』に対し、つくったものを循環させる『静脈産業』のパイオニアであることを自認し事業を展開してきました」

そう話すのは、会宝産業の代表取締役社長である近藤高行さん。同社は長らく、リサイクルの観点から環境保護に貢献してきたが、以前は「当の社員たちにそのことに対する誇りがなかった」という。

「しかし、SDGsを掲げるようになって、社員の意識も変わってきました。SDGsは世界共通の目標ですから、信念を持って取り組んでいれば、外部から注目されたり、メディアに取り上げていただいたりする機会も増えます。その中で、自分の仕事が社会の役に立っているという自覚が芽生え、社員のモチベーションの向上につながっているのだと思います」

会宝産業では、SDGsの目標12である「つくる責任・つかう責任」に加えて、「あとしまつの責任」という独自の目標を掲げている。

「正直なところ、『つくる責任・つかう責任』といわれてもピンとこなかったので、自分たちの腹に落ちる表現に置き換える必要があると思いました。『あとしまつの責任』という言葉を採用したことで、われわれの取り組みが、一般の方にもより伝わりやすくなったと感じます」

その取り組みが国やJICA(国際協力機構)の評価を受け、「自動車の処理なら会宝産業に聞こう」という流れもできているという。

現在、会宝産業が掲げている新たなミッションは「海外にも"あとしまつ"のカルチャーを広げること」だ。同社独自の教育機関「国際リサイクル教育センター(IREC)」をブラジル、インドなどで展開し、自動車リサイクルに関する知識や技術の普及に努めている。

「自動車部品の需要が世界中で高まる中、解体済みの車両をただ放置しているような国や地域も散見されます。こうした状況を是正し、自動車リサイクル市場を地球レベルで健全化することが、自分たちの未来にも関わってくると考えています」

SDGsにどう取り組むべきか悩んでいる企業に対しては、目標17の「パートナーシップで目標を達成しよう」に注目してほしいと近藤さんは話す。

「私がSDGsで一番いいなと思っているのは、共通の目標の下、相談したり助け合ったりできる仲間が増えたことです。業種や規模に関係なく、みんなが同じ方向を目指しているわけですから。会宝産業でも、さまざまな企業とオープンなつながりを持って、新たな連携や協業の可能性を探っていきたいですね」

画像:会宝産業「KRAシステム」

会宝産業では、廃車から部品を取り出し、商品として販売するまでの情報を一元管理する「KRAシステム」を独自開発。過去の取引実績から、国や地域ごと、あるいは車種ごとの需要動向を把握することができる。同システムは、業界内の約70社と共有されており、国内外の「適正相場」の形成にも貢献

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