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トップ > ITのチカラ [Vol.5] テレワークサポーター > ケーススタディー
在宅などで働くテレワーク人口は、すでに955万人近くに上っている。「働き方改革」に注目が集まる中、今後はますますテレワークを導入する企業が増えそうだ。キヤノンITソリューションズ(以下、キヤノンITS)が提供するテレワーク支援システム「テレワークサポーター」について、ITサービス事業本部の上總 武、松野 一が解説する。
今回のポイント
ケーススタディー
北海道から沖縄まで全国に約500社の取引先を持つIT機器ディストリビューターのイグアス。同社がテレワークの試行に踏み切ったのは、2014年のことだった。代表取締役社長の矢花達也氏は、「お客さまの数も商材数も増えていく中、製品知識など専門性が求められる見積作成業務が肥大化し、その効率化が課題になっていました」と当時を振り返る。
まず見積書の作成を一元的に担う組織をつくり、次いで取り組んだのが外部人材の活用による業務の分散だった。「業務のスキルがあっても子育てなどのため働く機会に恵まれない人がいるのではないかと考え、ハローワークでITの素養がある方などを募集したところ、100人近い応募があったのです」(矢花氏)。この時、テレワーカーとして一気に30人を採用。トレーニングにより強い戦力となり、テレワーク導入のファーストステップとしては十分な成果を上げた。
だが、試行錯誤する中で次なる課題も見えてきた。「テレワーカーを増やしていくには、業務の標準化が必要だと気付きました。そこで業務をデータベース化し、テレワーカーがそれを自分で取りに行って、終わったらまた次の業務を取りに行くといった仕組みをつくりました」(矢花氏)
さらに次の段階として、業務全体のリソースの最適化に取り組んだ。見積もり作成案件は日々次々と舞い込んでくるが、ソフトウエア、ハードウエア、保守などの担当ごとにどうしても業務量の偏りが生じる。多忙なテレワーカーがいる一方で、時間を持て余すテレワーカーもいるという状況もあった。
「そこで導入したのが、キヤノンITSの『テレワークサポーター』です。当時はプロトタイプの段階でしたが、タスクやスケジュールの管理機能を一緒に開発できる点に魅力を感じて採用を決めました」(同社パートナービジネス事業部パートナービジネス支援本部長の萩野茂孝氏)
「テレワークサポーター」の導入は、リソースの最適化にはっきりと効果をもたらした。テレワーカーにいつ働けるかを1カ月前に入力してもらえば、いつどれくらいのリソースが確保できているかが可視化されるため、繁忙期であっても的確にリソースを準備できるようになったからだ。「計画を立てられるだけでなく、誰がどんな仕事をしたのか分析もでき、最適化のためのPDCAが回るようになりました」と、矢花氏は話す。
難度の高い業務を多くこなした人の給与をアップするなど、人事評価の透明性も今後高めていく。また、実際に「テレワークサポーター」を使用しているテレワーカーからは、「それまでは勤務時間や業務内容をエクセルに入力して報告していたが、今は何時から何時まで何の作業をしたのか、ボタン一つですぐ行えるので助かる」など、勤務状況の自己管理が不要になったので、本来の業務そのものに集中できることを喜ぶ声も上がっている。
イグアスでは今後、テレワーカーを積極的に採用していく方針だ。
「今までは、これ以上テレワーカーを増やしてもスキルなどの管理が追い付かないのがネックでした。しかし『テレワークサポーター』があれば規模拡大が可能です。それだけでなく、他の業務もテレワーカーに任せていけるでしょう。社会の中に眠っている潜在的な労働力を活用するという点で、意義も大きい。今後の事業拡大に伴う業務量増大は、テレワークの枠組みの中で吸収していきたいと考えています」(矢花氏)