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トップ > ITのチカラ [Vol.6] AvantStage(アバントステージ) > ケーススタディー
基幹業務システムに対するニーズの変化に対応し、ERPに代わる選択肢としてキヤノンITソリューションズ(以下、キヤノンITS)が提供する、基幹業務トータルソリューション「AvantStage」。SIサービス事業本部の加藤 茂、前田貴純、中嶋 研がそのコンセプトや導入の効果などを解説する。
今回のポイント
ケーススタディー
「晩餐館焼肉のたれ」や「から揚げ作り」などの商品で知られる日本食研ホールディングス(以下、日本食研)。同社はこうした家庭用商品のほか、「から揚げの素No.1」や「焼肉のたれ彩」などの業務用調味料、さらにレトルト食品、ハム・ソーセージなど多数の商品を開発し、製造、販売まで手掛けている。
同社が基幹システムの刷新に踏み切ったきっかけは、独自開発のシステムが稼働するメインフレームの保守期限が近づいてきたことだった。さらに4つの工場の統一基盤整備、そして属人化した生産業務の標準化を目指すことも必要だった。それまでの需要予測・需給計画では、商品の欠品が頻繁に発生したり、出荷期限切れ在庫や過剰在庫が発生したりという課題があった。また、生産計画や倉庫への補充計画は担当者の経験と勘に頼った運用になっており、担当者によってバラツキが大きくなっていた。千葉工場生産管理グループ 係長の大塚達也氏は、「人により生産の段取りに差が出ることが課題でした」と当時を振り返る。
これらを解決するために最適なソリューションは何か。まず議論になったのは、ERPの導入か、それともパッケージの組み合わせかという点だった。「当社は、市場規模の大きな分野に優先的に商品を投入して日本一の単品目に育て、スケールメリットの獲得を目指す『単品日本一戦略』を進めています。それを実現するために少量多品種生産という自社の強みを生かすことを重視すると、ERPではカスタマイズが多くなってしまいます。そこで、必要な機能を組み合わせる形を選択することにしました」(情報システム部 千葉システム企画グループ グループリーダーの海野裕二氏)。
新しい基幹システムは、2010年に「FOREMAST」、12年に「ASPROVA」、14年に「mcframe」、15年に「SuperStream-NX」がそれぞれ本番稼働を開始。これにより4つの工場の統一システム基盤が整備された。
導入の効果ははっきりと現れている。例えば「FOREMAST」では、過剰在庫(廃棄ロス)の削減や欠品の早期発見による対処、在庫の最適化が実現された。「ASPROVA」では「段取り条件や切り替え時間など、従来は表計算ソフトで管理していたものを現場担当者のノウハウを生かしながらマスター化できました」(大塚氏)。少量多品種生産で短納期を実現するために、「ASPROVA」は不可欠のツールになっているという。情報システム部 流通システムグループ係長の浅部州生氏は、「『ASPROVA』が止まると業務も止まるほど重要な仕組み。『ASPROVA』に問題が発生してもバックアップから復旧できるように、データを冗長化するなど工夫しています」と話す。
同社では、「AvantStage」のさらなる導入効果に期待を寄せている。今後は、「mcframe」で原価計算のためのルール固めと実際原価精度の向上、「ASPROVA」ではさらなる表計算ソフトからの脱却と「ASPROVA」により現場で立てた計画に基づく実行、「SuperStream-NX」では以前に比べて業務工数が増えている部分の改善に取り組んでいく計画だ。「キヤノンITSには、トータルソリューションの強みを生かし、システム間連係のさらなる負荷軽減に対する提案にも期待しています」(海野氏)
日本食研ではまず「FOREMAST」を導入し、その後「ASPROVA」「mcframe」「SuperStream-NX」と段階を踏んで導入していくことで基幹システムの改善を進めた。コストを抑えながら、柔軟にシステムを構築・運用できるBest of Breed型ソリューションのメリットが生かされている。