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トップ > ITのチカラ [Vol.7] 定型・非定型帳票OCRエントリーシステム > ケーススタディー
企業の帳票処理の効率化には、OCR(光学式文字認識)による情報のデータ化が重要な役割を果たす。キヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)が提供する「定型・非定型帳票OCRエントリーシステム」について、ビジネスソリューションカンパニーの木下史章、冨田和利、大野浩輝、西尾光一、下牧 崇が解説する。
今回のポイント
ケーススタディー
太陽生命保険では、効率的な働き方によるワーク・ライフ・バランスの実現のため、業務の見直しによる「スマートワーク」の推進やワークスタイルの変革に取り組んでいる。
「単に残業時間を削減するのではなく、仕事の内容を変え、機械にできることは機械に任せて『人にしかできない価値を生む仕事』に力を注げる環境をつくることを目指しています。お客さまとのコミュニケーションなどに、より多くの時間を割けるようになれば、サービスの向上も期待できると考えています」(関吉氏)
業務の効率化が求められる中、IT企画部が中心となって自動化を推進することになり、まずは人手を必要とする作業の洗い出しに取り組んだ。そこで課題として浮かび上がったのが、官公庁などからの契約照会への対応業務だ。
「生命保険会社は官公庁や弁護士などから保険契約の有無などについて照会を受けることがあり、太陽生命保険ではその数が年間で82万件にも上るのです」(森田氏)
対応している契約サービス部では、官公庁などから書類で受け取った個人の名前と生年月日のデータをシステムに入力し、自社に保険契約があるかどうかを調べて回答する。「契約照会で使用されている書類はフォーマットが定まっておらず、さまざまなレイアウトがあります。このためシステムへの入力は自動化できておらず、従来は担当者が1件ずつ確認しながら手作業で行っていました」(森田氏)。回答にはスピードと正確性が求められるため、契約サービス部にとっては負荷の高い業務となっていた。
そこで非定型の書類を読み取って自動的にデータ化するシステムの導入について検討を開始。複数のベンダーからの提案を比較した上で、キヤノンMJの「非定型帳票OCRエントリーシステム」の導入を決めた。「他社のシステムは読み取る文字の周囲に枠線がなければならないといった制約があったり、読み取った後のデータの確認・修正がしにくかったりといった問題がありました。『非定型帳票OCRエントリーシステム』は読み取る帳票の制約が少なく、データ修正のサポート機能も標準で搭載されていたのが評価のポイントです」(巻田氏)。導入費用や年間保守料、導入までにかかる期間なども考慮し、全ての項目で高評価だった同システムの採用が決まったという。
これまで契約照会の対応業務は、基本的には本社で対応していたものの、全国143支社、12営業所の各拠点で照会を受けた場合にはそれぞれの拠点で回答することもあった。それを「非定型帳票OCRエントリーシステム」の導入を機に本社に集約することになった。「官公庁などへの回答は業務の負担が重いだけでなく、正確な対応が必要なことから心理的負荷も高いといえます。各拠点でこの負担が軽減された効果は大きいと思います」(関吉氏)。全国各地の拠点で業務の効率化が進んだ結果、現場ではお客さまとのコミュニケーションに、より注力できるようになっている。
同社では、「非定型帳票OCRエントリーシステム」導入による作業の効率化と、契約照会業務の本社への集約による支社業務の効率化により、年間の総労働時間1万4444時間の削減効果を見込んでいる(全支社で1万2600時間、本社で1844時間)。「今後はキヤノンMJと一緒に読み取り精度の向上に取り組んでいきたいと考えています。また、社内には紙の書類が使われている業務が他にもたくさんあります。どのように『非定型帳票OCRエントリーシステム』の活用範囲を広げていけるか、他の部署や業務についても今後検討していきたいと思っています」(渡邉氏)