大判プリンターかんたんポスターづくり人を呼び込むポスター活用術
大判プリンターでつくるポスターやPOPは、消費者の目に直接触れるもの。何を表現し、どのように活用するか。その手法でビジネス上の効果が大きく変わってきます。
小売店などではポスターやPOPを現場スタッフがデザインすることも増えてきました。プロのデザイナーではない現場スタッフがつくる場合、何がポイントになるのでしょうか? またデザインの良し悪しをどのように判断すればよいのでしょうか?視覚言語、ビジュアルコミュニケーションを研究している内田 広由紀氏に伺いました。
美しくまとめられたデザインが売上に貢献するとは限らない
人間の五感の中でもっとも影響が大きいのは「視覚」といわれています。文章で伝えるのと違って、視覚を使えば直感によって一瞬で伝わります。小売店だけでなく、ビジネスにおいても、視覚に訴えるポスターやチラシ、カタログ、ホームページなどがよく活用されています。
では、店頭で訴えたいことが一瞬でお客様に伝わるようなポスターをつくるには、何がポイントになるのでしょうか。
ただ美しくデザインするなら、プロのデザイナーに任せるほうが確実です。しかし、美しいデザインが売上に貢献するとはかぎりません。見栄えがよいだけでは、人の心に訴える力が弱いからです。
デザインのセンス以上に重要な要素は「好感」
デザインの世界では「感性」や「センス」が重視される傾向にありますが、私はデザインを次の3つの要素に分解して考えています。
- 共感・・・見る人にふさわしい内容か?(見た人に響く内容か?)
- 美感・・・形や色が整っていて美しいか?
- 歓迎感・・・お客様を歓迎する気持ちが表現されているか?
そしてこの3要素が総合的に合わさったところに生まれるのが「好感」です。この好感が生まれたとき、見た人の心に響きます。つまり、売上が伸びるといった結果につながるのです。
デザインの「共感」「歓迎感」は現場スタッフの視点が重要
デザインをするとき、多くの方は見た目の美しさ、つまり美感を重視するのではないでしょうか?
美感についてはプロのデザイナーが優れており、初心者がそのレベルに達するのは容易ではありません。ですが、すべてのポスターが美感で超一流である必要はありません。一流料理と家庭料理が別物であるように、商品や店舗によって美感に求められる基準は違ってきます。また美感を優先しすぎると、スッキリしたデザインになりがちで、歓迎感が伝わってきません。
一方、プロのデザイナーに足りないのは、共感、歓迎感です。特に歓迎感の理解は現場のスタッフのほうが優れています。その根底にあるのは、相手を思いやる気持ち。お客様の特徴をきちんと把握している人間でなければ、歓迎感の判断はできないのです。
つまり、そこに店舗のスタッフが、ポスターのデザインにかかわる意義があります。現場の視点で「共感」「美感」「歓迎感」を盛り込んだポスターをつくるのです。この3要素を盛り込むことは、プロのデザイナーに依頼するにしても、自分たちで制作するにしても、変わりません。
「好感」を起こさせるポスターを現場スタッフでつくるには?
自分たちでポスターをデザインするには、まず作業に入る前に、以下のような情報を多く集めることです。
- 商品の特徴(他の商品との違い)
- お客様の特徴(客層、傾向、好みなど)
- 自分の店舗の特徴、強み
- ポスターを設置する場所(周辺の環境も含む)
- 近隣の店舗との違い
次に、集めた情報から、訴えたい要素を整理して2つ、または3つのキーワードとして抽出します。それが共感になります。この作業が一番難しいところで、「売上を伸ばしたい」と本気で考えている人が抽出しないと効果がありません。
そして、お客様をイメージしながら、「どうしたら来店してくれるか」「商品を手にとってもらえるか」「喜んでもらえるか」を真剣に考えます。それが歓迎感につながるのです。この段階で「掲載する情報」「色」「画像」が決まってきます。
最後に美感の観点で、美しく、体裁よくまとめていきます。
このような段階を経てデザインを進めていけば、見た人の心に「好感」を起こさせるポスターができあがるのです。
好感を生むデザインの型を見つけよう
みなさんもいろいろな店舗を回って、実際に掲示されているポスターを評価、分析してみてください。「これはよい」と思うようなポスターからは、「お客様に来てほしい」「買っていただきたい」という気持ちが伝わってくるはずです。
なるべくたくさんのポスターを見て、「共感、歓迎感がどのように表現されているか」を分析してみましょう。そして好感を生むデザインの型を見つけてください。
* 売り上げにつながるデザインのポイント *
- デザインは共感、美感、歓迎感の3要素に分解して考える
- 3要素を合致したとき好感が生まれ、売上につながる
- 共感、歓迎感は、プロのデザイナーより、お客様を知る現場スタッフが理解している