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トップ > Cのキセキ Episode.34 「EOS R3」 > P1
カメラファンの間で大きな反響を呼んでいるのが、新たなミラーレスカメラ「EOS R3」だ。開発発表されてからおよそ7カ月、2021年11月に発売されたR3は、プロフォトグラファーやハイアマチュアに向けたカメラであるにも関わらず、広くカメラファンの注目を集めている。なぜこのカメラはそんなにも人を惹きつけるのだろうか。その理由に迫る。
開発が発表されてからおよそ7カ月、2021年11月に満を持して発売された「EOS R3」は、ハイエンドユーザーに向けた高性能カメラではあるが、広くカメラファンの注目を集め続けてきた。
市場に向けてそうした話題を提供してきたキヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)の和田康一は、「新しい試みだった」と振り返る。
「4月に開発を発表し、6月に追加情報の公開、そして夏のスポーツイベントでのテスト期間を挟んで9月の正式発表と、段階的に情報を公開してきました。第一の狙いは『EOS R3』に対する関心を醸成し、維持することですが、今回はカメラ市場全体に明るい話題を提供することも目的でした。業界全体を活性化するような情報発信ができれば、『EOS R3』にもプラスになると考えたのです」
和田と共にマーケティングを担当するキヤノンMJの津幡圭佑は、今回の戦略をこう説明する。
「新製品の情報発信では、カメラのスペックに加えてフォトグラファーの使用感や作例写真、インタビュー動画などを同時に発信することが多いのですが、今回はまずスペックを伝えることに力を注ぎました。『EOS R3』は、キヤノンが現在持つ技術を全て投入したカメラ。それらを真正面から伝えるだけで強いインパクトを与えられると判断しました」
その狙いは当たった。新開発のフルサイズ裏面照射積層CMOSセンサーの搭載、最高約30コマ/秒の高速連続撮影の実現、デジタルになって初めて搭載された視線入力、6K・4Kでの撮影が可能な動画機能、新しいアクセサリーシュー、そして一眼レフのフラッグシップ機「EOS-1D X Mark Ⅲ」と同等の防塵・防滴性能を備えながらも、小さくて軽いボディ。
一つひとつが十分目玉となりうる新機能の数々はSNSやYouTubeなどで拡散され、話題が話題を呼んだ。
「6Kオーバーサンプリングプロセッシング」で優れた色再現性と鮮明なディテール描写を実現
全画素を使って6K動画を撮影した後に、その動画を4Kリサイズする機能が6Kオーバーサンプリングプロセッシング。全ての画素を利用して撮影するため、優れた色再現性と鮮明なディテール描写が可能になり、モアレやジャギーと呼ばれるノイズの発生も低減される。クロップ*1が行われないため、装着したレンズの焦点距離が変わらないというメリットもある。
*1 撮影の段階でCMOSセンサーの一部分の画像を記録すること
正式発表時には、もう一つの大きな仕掛けが用意された。それが「無双。」というキャッチコピーだ。製品紹介サイトやカタログ、さらには広告などにこのコピーが使われるようになると、それまで公開されてきたスペック情報との相乗効果で、反響はさらに高まった。「このスペックは確かに無双だ」。SNS上はそんな声であふれた。津幡は、コピーに「EOS R3」に携わった全ての人の思いが乗っていると話す。
「『無双。』という言葉は強すぎではないかという心配の声も社内の一部からありましたが、このカメラを実際に手にした人は支持してくれました。手にすれば絶対に納得してもらえる。自信が揺らぐことはありませんでした」
ここまで強い言葉が使われることは珍しいと、和田も話す。
「チームの中では"このカメラを発表したら何が起きるのだろう"というワクワクする思いがありました。この思いを待ってくれている人たちと共有したかった。それがこの思い切ったコピーにつながったのです」
これまでにない全く新しいカメラと向き合う"ワクワクするような思い"を抱いていたのは、キヤノンMJのメンバーだけではなかった。
「EOS R」システムを採用した縦位置グリップ一体型ミラーレスカメラ。有効画素数約2410万画素*2新開発フルサイズ裏面照射積層CMOSセンサーを搭載し、電子シャッター時に最高約30コマ/秒の高速連写と高画質を両立している。「デュアルピクセルCMOS AF Ⅱ」の広範囲AFと強力なトラッキングシステムに加え、視線入力も採用することで素早いピント合わせを実現する。動画撮影に関しては最高6K/60Pの解像度で撮影可能。「EOS」で初めて30分制限を解除し、最長6時間の撮影時間を実現。防塵・防滴、高耐久のボディ、新開発のマルチアクセサリーシューを搭載している。