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カメラファンの間で大きな反響を呼んでいるのが、新たなミラーレスカメラ「EOS R3」だ。開発発表されてからおよそ7カ月、2021年11月に発売されたR3は、プロフォトグラファーやハイアマチュアに向けたカメラであるにも関わらず、広くカメラファンの注目を集めている。なぜこのカメラはそんなにも人を惹きつけるのだろうか。その理由に迫る。

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  • 2021.12.01

Episode.34 「EOS R3」

新型センサーが実現した飛躍的な進化

写真:三本杉 英昭 キヤノン(株)で「EOS R3」に採用されたフルサイズ裏面照射積層CMOSセンサーの開発に携わった三本杉 英昭

「EOS R3」に搭載されるCMOSセンサーは、単なる新型ではない。「裏面照射」「積層」といった従来とは異なる構造を採用している。その開発を担当した三本杉 英昭は、「これまでにない映像を撮ろうとしたときの、答えの一つをつくるつもりでチャレンジしました」と話す。

「従来のCMOSセンサーは、光を受け取る受光部の上に配線などの層が配置される構造です。これを裏返しにして受光部の裏側に配線などの層を配置し、光を取り込む効率を向上させたのが裏面照射構造です」

「EOS R3」では、夜間・暗所撮影といった低照度での性能が大幅に向上している。それを実現したポイントの一つがこの「裏面照射」の採用だ。そしてもう一つ、大きな進化が「積層」という言葉に表れている。

「従来のセンサーでは、光の取り込みと信号の処理という異なる仕事を一つの層で行うために構造上の制約が発生し、処理に時間がかかることがありました。そこで新センサーでは2つの回路を、層を積み上げる形で分離し、それぞれを最適化しました。これによってデータ処理のスピードが大幅にアップしたのです」

連写スピード向上やレリーズタイムラグ*の低減、高速移動する物体を撮影した際に生じるローリングシャッター歪みの低減、AFの高速化などは、積層構造の採用に負うところが大きい。

こうしたセンサーの構造を変更するに当たっては、越えねばならない壁は高かったと三本杉は話す。

「これまでのノウハウが通じない部分もありましたし、全体のバランスをとる難しさも痛感しました。ただし、構造そのものを刷新したことで、性能を飛躍的に高めることができたのです」

* シャッターボタンを押してからカメラが動作して
画像を写す(露光)までの時間

画像:「EOS R3」の「高画質」「高速性能」を実現した新開発フルサイズ裏面照射積層CMOSセンサー

「EOS R3」の「高画質」「高速性能」を実現した新開発フルサイズ裏面照射積層CMOSセンサー従来型センサーから大きく構造を変え「裏面照射」「積層」を「EOS」として初めて採用したことで、優れた受光効率と信号読み出しの高速化を実現。画像処理エンジンの「DIGIC X」との連携により、高画質化に加えて夜間・暗所撮影における性能向上や高速連続撮影、レリーズタイムラグの低減といった高速化にも貢献している。

  • 画像:EOS-1D X Mark III撮影
  • 画像:EOS R5撮影
  • 画像:EOS R3撮影

新開発CMOSセンサーの採用でローリングシャッター歪みを大幅低減
スポーツの撮影など、激しく動く被写体を電子シャッターで撮影すると、被写体の形が歪んで写る動体歪み、ローリングシャッター歪みなどと呼ばれる現象が発生する場合がある。「EOS R3」で採用された新開発フルサイズ裏面照射積層CMOSセンサーは、信号の読み出し速度が大幅に高速化されているため、そうした歪みの発生が低減されている。

画像:被写体検出性能の大幅な向上で「人物」「動物」「乗り物」を捉え続ける

被写体検出性能の大幅な向上で「人物」「動物」「乗り物」を捉え続ける
人物では「瞳・頭部・胴体」の検出性能がさらに進化。瞳や顔、頭部が隠れた場合でも、胴体を検出してトラッキングを継続する。他にもマスクをしていたり、目に濃いメイクが施されたりした人物への対応も可能になった。犬、猫、鳥を捉える「動物優先」モードに加え、フォーミュラカーやラリーカー、モーターバイク、オフロードバイクを検出し、自動でピントを合わせる「乗り物優先」モードも追加された。

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