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キヤノンのフラッグシップにして、プロフェッショナルモデルのデジタル一眼レフカメラ「EOS-1D X Mark II」が4月28日に発売された。コンシューマー向けのカメラとは違う、「フラッグシップ」はどんな視点で選ばれ、どう使われるのか。その開発と販売、サポートの現場に話を聞いた。

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  • 2016.06.01

Episode.13 「EOS-1D X Mark II」

“プロ機”として背負い続ける宿命

ディフェンダーの視界から消えてゴールを決めるストライカー。空気を切り裂くようなスピードで空中を回転する体操選手。わずか10秒の間に全てを燃焼させるスプリンター。その瞬間の真実を、時にドラマチックに、時に冷静に撮影する。それがプロフォトグラファーの仕事だ。

そんな彼らに使われてきたのが、キヤノンの一眼レフカメラのフラッグシップにしてプロフェッショナルモデルである「EOS-1」シリーズだ。キヤノンでプロ向けカメラの戦略策定を担当する松本俊郎は、コンシューマー向けカメラとは異なる、プロフェッショナルモデルならではの特徴をこう語る。

「プロに使われるカメラというのは、どんなに過酷な撮影環境でも彼らが必要だと思った瞬間を確実に撮影できるものでなければならない。われわれはそこにこだわって作る。そして、そうしたこだわりは必ず使ってくれる人に伝わります」

松本は、2016年2月に発表され、4月28日に発売された新しいフラッグシップモデル「EOS-1D X Mark II」の開発初期にプロジェクトリーダーを務めた人物でもある。12年に発売されて以来、多くのプロの信頼を勝ち取ってきた「EOS-1D X」の後継機は、果たしてどんな思想の下に生まれたのだろうか。

「最大の目標は、あらゆる部分でプロフォトグラファーの皆さんに、『よくなったな』と実感をしていただくことです」

では、どんなカメラになったのだろうか。松本の下で商品企画に携わってきた正村友也はこう話す。

「プロフェッショナルモデルですから、一般の方は触れる機会が少ないかもしれません。ですが『EOS-1D X Mark II』こそ、実は『EOS』シリーズの中で最も扱いやすいカメラになっているとも言えるのです」

プロが求める極限の環境でもストレスなく使えるカメラ。機能だけでなくそうした部分を研ぎ澄ませたことで、誰でも確実に写真が撮れるカメラになったのだという。キヤノンがプロからさらなる信頼を勝ち取るためにこだわりを持って作られた“扱いやすい”カメラだからこそ、厳しいプロの現場で実力の全てを発揮できるのだ。

写真:松本俊郎 正村友也 キヤノン(株)のイメージコミュニケーション事業本部で「EOS-1D X Mark II」の開発を担当した松本俊郎(右)と、商品企画を担当した正村友也 写真:「EOS-1D X Mark II」の内部構造 「EOS-1D X Mark II」の内部構造。手前に置かれているのが、高画質・高感度撮影を可能にした新開発の35mmフルサイズCMOSセンサーと、最高約14コマ/秒の高速連続撮影を実現した新しいミラー機構およびシャッターユニット。前モデルの「EOS-1D X」とほぼ同じサイズ、形状だが内部は大幅に刷新されている
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