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トップ > Cのキセキ Episode.13 「EOS-1D X Mark II」 > P5
キヤノンのフラッグシップにして、プロフェッショナルモデルのデジタル一眼レフカメラ「EOS-1D X Mark II」が4月28日に発売された。コンシューマー向けのカメラとは違う、「フラッグシップ」はどんな視点で選ばれ、どう使われるのか。その開発と販売、サポートの現場に話を聞いた。
「EOS-1D X Mark II」について、松本と正村が声をそろえて話した一言がある。それは「このカメラはわれわれだけで完成させたものではない」という言葉だ。
「カメラの開発はできても、それが現場で本当に役に立つのかという最後の評価はわれわれではできないのです。そこはやはりプロにお願いするしかありません。そこで早い段階から試作機を実際に撮影現場で使ってもらい、そこでのデータやフィードバックを元に解析とチューニングを繰り返しました。そして、それは製品が発売された後も、ずっと続いていく取り組みでもあります」
長本も、これからもカメラ作りに積極的に関わっていくと話す。
「われわれは普段から多くのプロフォトグラファーの方々と膝を突き合わせて、さまざまな情報をやりとりしています。大きなスポーツの大会があればキヤノンブースを設けて徹底したサポートと情報収集をしますが、各メディアやエージェンシー、フリーランスのフォトグラファーそれぞれに向けて事前のメンテナンスもご提供しています。現地ではストレスなく、撮影だけに集中してもらうことが大事ですから」
そういったやりとりがいかに重要か。長本は身に染みていると話す。
「キヤノンとキヤノンのカメラの良いところ、悪いところを全てお聞きします。言いたいことがあれば何でも言っていただき、そこで得た情報を全て開発チームにフィードバックするわけです」
開発チームとの情報共有は密に行われ、ミーティングも頻繁に行っている。津幡は情報共有の重要性を語る。
「素早く、質の高いサービスを提供するのは当然。それだけでは信頼は得られません。プロが望むものをチームで共有・議論し、その結果をサポートとファームウエアのアップデートなどの人と技術の力で応え、次の製品開発にもつなげていく。こうして初めて信頼が得られると考えています」
「EOS-1D X Mark II」をこれからも育てていく。その決意が信頼となる。スポーツの祭典に強い気持ちで挑むのは、競技をするアスリートだけではないのだ。