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トップ > Cのキセキ Episode.23 「EOS R SYSTEM」 > P1
キヤノンから新たなイメージングシステムが登場した。それが「EOS Rシステム」だ。開発コンセプトである「Reimagine optical excellence」から取られた「R」の文字には、イメージングの世界を再構築するという、キヤノンの強い決意が込められている。その核心はどこにあるのか。「EOS Rシステム」の開発者たちに話を聞いた。
デジタルカメラのCMOSセンサーには、光を読み取って記録するという重要な役割がある。中でもフルサイズと呼ばれる35ミリフィルムに近いサイズのものは、より多くの光を読み取ることで高画質を実現しやすく、プロやハイアマチュア向けのモデルに採用されることが多い。
このフルサイズのセンサーを搭載したレンズ交換式カメラの分野に、大きな変化が訪れている。従来の光学式ビューファインダーに必要だったミラー機構をなくし、CMOSセンサーが読み取った映像を電子ビューファインダーに映すミラーレスカメラの普及が進み、フルサイズ搭載モデルも登場するようになったのだ。
キヤノンが「EOS Rシステム」で、フルサイズミラーレスに参入する。この発表は大きなニュースとなった。複数のカメラメーカーからもフルサイズミラーレスが発表され、メディアやSNSなどで「"フルサイズミラーレス戦争"が始まった!」と話題になった。
しかし当事者である「EOS Rシステム」の開発メンバーたちは、そうした熱気とはやや異なる感慨の念とともに、新しいカメラの発表の時を迎えていた。
「EOS Rシステム」のプロダクト開発全体を統括した、キヤノンのイメージコミュニケーション事業本部長の戸倉 剛は、こんな話を始めた。
「私たちには、もともと『お客さまに多様な選択肢を提供する』という基本的な考え方がありますから、フルサイズミラーレスを加えたフルラインアップの提供は、以前から検討を重ねていました」
だが、フルサイズミラーレスを作ることが目的ではなかったという。
「キヤノンが培ってきた技術を組み合わせれば、もっと早くフルサイズミラーレスを発売できたと思います。『EOS』シリーズの『EFシステム』は現在でも第一線で通用する優れたシステムですし、『EOS M』シリーズという小型のミラーレスカメラもラインアップしています。それらを組み合わせた"だけ"のフルサイズミラーレスなら作れたはずです。しかし、それでは"夢"がありません。キヤノンが新しい領域でどんなものを見せてくれるのかと期待しているお客さまに、ミラーをなくしただけの製品を提供するのは失礼だと考えたのです」
戸倉のその言葉には、「これまでにない思い切った挑戦をしよう」という、開発者たちへの鼓舞が含まれていた。
1987年に登場したレンズ交換式カメラ「EOS」シリーズに新たに加わったイメージングシステム。「EOS」シリーズ不変のコンセプトである「快速・快適・高画質」をより高いレベルへと導くため、EFマウントから大口径54mmを継承しながら、光学設計の自由度を高め、さらに高画質を実現するショートバックフォーカス、より高速に大容量通信を可能にする新マウント通信システムを採用している。「RFマウント」を搭載した「EOS R」、「RFレンズ」、「EFレンズ」との連携を可能にするマウントアダプターなどで構成される。