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キヤノンから新たなイメージングシステムが登場した。それが「EOS Rシステム」だ。開発コンセプトである「Reimagine optical excellence」から取られた「R」の文字には、イメージングの世界を再構築するという、キヤノンの強い決意が込められている。その核心はどこにあるのか。「EOS Rシステム」の開発者たちに話を聞いた。

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  • 2018.12.01

Episode.23 「EOS R SYSTEM」

新しいカメラとレンズの関係をどう生み出すか

「EOS Rシステム」においてもう一つポイントになるのが、新しいマウント通信システムだ。「EFシステム」にも完全電子化されたマウント通信システムは採用されているが、「EOS Rシステム」では高速かつ大容量の通信を行える新規格が採用された。海原は、「レンズとカメラの間の根本的なルールが変わった」と表現する。

「『EFシステム』のマウント通信システムでは、私たちが『EF憲法』と呼ぶほど厳しい電力や情報のやりとりに関するルールがあります。カメラ本体もレンズも、そのルールを越えないように設計します。『EFシステム』は優れたシステムですが、技術の進化を考えたとき、将来的に足かせにならないとは言い切れない。そこで新しい技術や用途により柔軟に対応できるように、新しいマウント通信システムを採用したのです」

例えば「RFレンズ」には、絞りやシャッター速度、感度や露出補正といった操作を割り当てられる「コントロールリング」が搭載されている。画像を最適化する「デジタルレンズオプティマイザ」に必要なレンズごとの情報は、撮影しながら瞬時に処理できるようになった。どちらも、大容量かつ高速な新しいマウント通信システムだからこそ実現できた。

だが、今回新システムにより実現した数多くの機能は、あくまで現時点でのものでしかないと海原は話す。

「『EOS Rシステム』には、新マウント通信システムを利用した新機能を搭載しましたが、今後新たな技術が登場したときにも新しい機能を実現できる素地を作ることも大きな目的でした。技術の進化やニーズの変化があっても対応し、発展させられるものでなければならない。それこそが、今回の新システムの開発では重要なポイントでした。だからこその大口径マウントとショートバックフォーカスであり、新マウント通信システムなのです」

こうして新たに生み出された「EOS Rシステム」。だが、新しいシステムであっても、「EOS」シリーズが追い求めるものは変わらないと戸倉は話す。

「『快速・快適・高画質』という『EOS』シリーズのコンセプトは、『EOS Rシステム』でも変わることはありません。例えこれまでにない『高画質』が実現できるとしても、『快速・快適』を損なっては意味がない。この三つのバランスが取れてこそ『EOS』なのです。今回の開発でも、ショートバックフォーカスの距離、カメラ本体に必要な堅牢性とのバランス、レンズとグリップの間隔、さらにこれまでの『EFレンズ』も新システムで活用できる『マウントアダプター』の種類や機能など、非常に多くの議論を、時間をかけて行いました。ですがどの検討段階においても、最終的には『快速・快適・高画質』というコンセプトに沿って決まりました。これからもこれをさらに高いレベルへと育て、撮影領域を広げることで、お客さまに映像表現の新たな価値を提供していきたい。それがこの『EOS Rシステム』に込めた想いです」

画像:30年先を見据えた先進的な「EOS Rシステム」

30年先を見据えた先進的な「EOS Rシステム」
「EOS Rシステム」の機能を全面的に進化させる、新マウント通信システムを採用した。12ピンの電子接点により、EFマウントと比べ通信速度を向上。これまでにない高画質と高い操作性、さらに膨大な「EFレンズ」の資産を引き継ぐ互換性を実現している。

画像:「EFレンズ」の可能性を拡張する、個性的な4種類のマウントアダプター

「EFレンズ」の可能性を拡張する、個性的な4種類のマウントアダプター
「EOS Rシステム」には、新たに開発された「コントロールリング」を採用したものや、円偏光フィルターや可変式NDフィルターを挿入できる機構を備えたものなど、膨大な「EFレンズ」の「資産」を活用し、表現の幅を広げることができる、4種類の多様なマウントアダプターが用意されている。

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