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DX実現へのカギを探る

デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むことの重要性への理解は深まっているが、戦略にまで落とし込めている企業はまだまだ多くない。どうすれば単なるデジタル化、業務効率化にとどまらない真のDXを実現できるのか。企業規模や業種により課題はさまざまだが、共通していえるのは、DXの本質を理解し全社で変革に取り組まなければ、道はひらかれない。そして、そこには"人"のチカラが不可欠だということだ。変革し続けるためのポイントについて、先進企業やキーパーソンに詳しく聞いた。

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  • 2021.12.01

DX実現へのカギを探る

ケーススタディ3
事業部間の対立を乗り越えネット事業への投資を継続、終活ビジネスのリーダーへ
鎌倉新書

情報提供やマッチングなどの事業を通じ、終活ビジネスをリードする鎌倉新書。倒産の危機を乗り越え、幾度もの変革を経て2015年には株式を上場した。転機は自社事業の捉え方を変えたこと。変革の軌跡を代表取締役会長CEOの清水祐孝さんに聞いた。

鎌倉新書
写真: 清水祐孝さん 清水祐孝(しみず ひろたか)
株式会社 鎌倉新書
代表取締役会長CEO

葬儀やお墓、相続など、シニア層の不安・悩みに寄り添って事業を展開するのが鎌倉新書である。同社が掲げるミッションは、「明るく前向きな社会を実現するため、人々が悔いのない人生を生きるためのお手伝いをします」というものだ。

「シニアの方々が憂いなく人生を送ったり、家族に感謝して暮らせたりするような社会づくりへの貢献が当社の目的です」

同社は、終活ビジネスを軸にすえ事業を軌道に乗せるまでに、何度も変革を繰り返してきた。

設立(1984年)当時は仏教書籍の出版社だった。清水さんが父親の経営する同社に入社したのは90年。「入社後に知ったのですが、売上高より借金の方が多かったんです。このままだと会社が潰れるというところまできていたので、新しいことをやらざるを得ませんでした。それが、変革を恐れない社風や文化として定着していったのかもしれません」

その後、葬儀関連の業界などに向け情報誌を制作し、その取材で得た情報をWeb発信したことも変革の一つだ。出版社から情報加工会社へのシフトだった。

「雑誌や新聞などメディアと呼ばれるものは、情報を届ける道具です。消費者が欲しいのは情報だと気付いてからは、道具にこだわらなくなりました」と語る。

こうしたことができたのは、セミナーやコンサルティングなども手掛ける中で、ネットにも早くから着目していたからだ。

「今後のネットの発展を確信してエンジニア採用を始めましたが、事業がすぐに軌道に乗ったわけではありません。出版を中心とする既存事業の利益を、ネット事業に注ぎ込むという状態が長く続いたため、既存事業を担当していた社員は面白くない。私が出張で不在のときなどに、双方が対立することもありました」

去っていった社員も少なくない。それでも清水さんはネット事業に投資を続けた。そんな中、売り手と買い手をつなぐ事業に可能性を見いだした。

「普通、葬儀の経験は人生で数回しかなく、買い手はほぼ情報を持っていません。どこの葬儀社に頼めばいいのか分からないケースも多い。一方、売り手側は葬儀を希望する人を探すのが難しい。両者をつなげばビジネスになる予感がしました」

今後は葬儀だけでなく介護や相続まで含む終活全般をサポート、事業をさらに成長させていくという。従業員数は170人強に増えた。それでもなお、未来のための人材の重要性を熱く語る。

「上場を決めた理由の一つは人材確保のためです。いかに優秀な人材を集め、長く働いてもらえるかが事業の成否に直結します。そのためにもミッションやビジョンを明確にし、そこに共感してくれる人を募りました。思いを共有した社員と共に『明るく前向きな社会の実現』に向かって、これからも変化を恐れずに進んでいきます」

画像:鎌倉新書が描くサービスツリー

鎌倉新書が描くサービスツリー

ミッションに基づき、ユーザー視点で、終活領域における「やりたいこと」「やっておきたいこと」「やらなくてはならないこと」などに応えるサービスを創造し展開している

  • ミッション「私たちは、明るく前向きな社会を実現するため、人々が悔いのない人生を生きるためのお手伝いをします。」
  • ミッションをベースに「終活領域において『やりたいこと』『やっておきたいこと』『やらなくてはならないこと』など、すべての要望にユーザー視点でお応えします」という指針がある
  • 中心❷の"指針"から放射状に広がる部分には「資産・相続など『お金』のこと」や「一人暮らし、単身世帯の方へ」など、ユーザーが直面する希望や課題、備えについて書かれており、その先には同社のサービスが実や花となってつながっている
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