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特別対談「人を活かす」栗山英樹さん×坂田正弘

2012年に北海道日本ハムファイターズの監督に就任し個性あふれる選手たちを率いながら、2度のリーグ優勝と1度の日本一へとチームを導いてきた栗山英樹監督。彼が実践してきた、選手たちの個性をプロデュースする方法、そして、強いチームをつくる方法とは? キヤノンマーケティングジャパン代表取締役社長、坂田正弘と語り合った。

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  • 2018.03.01

特別対談「人を活かす」
栗山英樹さん(北海道日本ハムファイターズ 監督)×坂田正弘(キヤノンマーケティングジャパン株式会社 代表取締役社長)

マンガのようなチームをつくりたい

写真: 坂田正弘 「「出る杭」になることを恐れていてはいい仕事はできません」 写真: 栗山英樹さん 「重要なのは、選手一人ひとりの絶対的な特徴を引き出すことです」

坂田

選手の個性を見極め、それをチームの強さにつなげていくにはどうすればいいとお考えですか。

栗山

僕はマンガみたいな野球チームをつくりたいといつも思っているんです。強いだけでなく、見ている人たちが本当にわくわくできるようなチームです。そのためにも、一人ひとりに個性を最大限発揮してもらう必要があるわけです。

坂田

選手の個性を活かすこととチーム全体を強くすることが一致しない場合もあるのではないですか。

栗山

そこは計算ですね。一年間に必要な打点がどのくらいで、それを達成するために誰がどのくらい打てばいいかを計算する。それで足りない場合は、どう補うかを考える。そんなやり方です。しかし、あくまでも重要なのは、選手一人ひとりの絶対的な特徴、代わりの利かない個性。それをどう引き出すかです。

坂田

選手の特徴や個性をあえて修正しようとはしないわけですね。

栗山

球界には大きく二つの意見があって、監督が徹底的に選手を指導し修正しなければならないという意見と、プロに入ってきた選手は誰だっていいものを持っているのだからいじってはならないという意見です。僕はどちらかというと後者の立場で、優れた才能といい環境があって、いい精神状態を保つことができれば、誰でも能力を発揮できると思っています。特に一流の選手は、こちらから何も言わなくても、修正すべき点があれば自分で修正できるものです。よく周囲からは叱られますよ。「監督としてもっと選手に口を出せ」と。でも、僕は選手自身が本来の良さを発揮できればそれでいいと思っているんです。

坂田

会社員が野球選手と違うのは、小さい頃からずっと練習をしてきたのではないということです。社会人となって初めてビジネスの世界に本格的に接するわけです。だからまずは、お客さまに対するマナー、ビジネスの考え方、人から信頼されるコミュニケーションの作法といった基本をしっかり身に付けるための教育が欠かせません。しかし、そのような「基本動作」が身に付いたら、そこから先は、おのおのの個性を活かして仕事をしてほしいと私も思います。基本さえできているのなら、小さくまとまらずに、思い切りやった方がいい。いい意味で生意気になった方がいい。想定通りの動きしかできない人は一緒に仕事をしていても面白くないし、お客さまにサプライズを与えることもできませんから。会社員といえども、「出る杭」になることを恐れていてはだめだと私は思っています。

栗山

生意気ということは、自分の意志をしっかり持っているということですよね。僕はそういう選手ばかりになればいいと思っています。チーム運営はかなり面倒になるとは思いますが(笑)。もちろん社長がおっしゃるように、基本は大切です。大谷翔平がルーキーだった時につくったルールで、その後「大谷ルール」として定着した決まりがあります。それは、「寮や宿舎から外出する時は、誰と出掛けるかを必ず監督にメールする」というものです。新人時代に野球に本気で取り組める環境をつくるには、周囲からの誘いをある程度シャットアウトする必要があります。外出の報告を義務付ければ、周囲も誘いにくくなるので、野球に没頭できるようになりますよね。このルールは割とうまく機能しました。一野球選手として、あるいは人としての基本的なルールをまずは守る。それさえできれば、野球自体は自由にのびのびとやらせてあげたいと思っています。

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