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既成概念を超えてゆけ! 働き方の未来

労働力人口の減少による人手不足は、今や多くの企業の喫緊の経営課題となっている。
少子高齢化や価値観の変化など、時代の流れは止められない。
ならばその流れに乗り、テクノロジーを駆使して、新しい発想で会社の在り方を再構築することが重要だ。
すでに改革は始まっている。人材を生かす職場環境づくりの現場に溢れるヒントを探ってみる。

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  • 2018.09.01

既成概念を超えてゆけ!
働き方の未来

コラムオフィス現場の生産性向上を実現するRPA、その導入と運用のポイントとは?
キヤノンマーケティングジャパン

オフィス現場の生産性を上げる仕組み「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」に注目が集まっている。2年ほど前からRPA導入を進めてきたキヤノンマーケティングジャパン(以下、キヤノンMJ)は、この3月、RPA推進部を新たに設け、本格的なRPA活用に乗り出した。RPAの導入と運用のポイント、期待できる成果についてRPA推進部 部長の磯村雅弘に話を聞いた。

統一ルールでの運用が必須

写真: 磯村雅弘 磯村 雅弘(いそむら まさひろ)
キヤノンマーケティングジャパン株式会社
マーケティング推進本部
RPA推進部 部長

オフィス業務を「自動化」させるツールとして、現在多くの企業で活用が進んでいるのがRPAだ。

「人がPCで行ってきた定型業務をソフトウエアに覚え込ませて、自動化するのがRPAです。RPAの適用対象となるのは、主に人の知的な判断がともなわない単純業務です」

そう端的に説明するのは、キヤノンMJ RPA推進部部長の磯村雅弘である。キヤノンMJでは、2016年から部門ごとにRPAの導入を進めてきた。その動きを取りまとめる部署としてRPA推進部が発足したのがこの3月のことだ。RPA活用には統括部門の働きが欠かせないと磯村は話す。

「RPAは、システム環境の変化から影響を受けやすく、環境が変わると動きが止まってしまうことがあります。また、部門ごとの個別ルールでRPAを運用することで、構築した本人にしかRPAを扱うことができなくなる可能性があります。想定した働きをしないRPAは、俗に"野良ロボット"と呼ばれますが、せっかく導入したRPAが野良ロボット化したり、RPAが属人化したりすることを防ぐためにも、全社統一のルールの下でRPAをマネジメントし、メンテナンスしていくことが必要です」

ロボットを「一社員」としてマネジメントする

デジタルレイバーの管理
ロボットを社員と同じように従業員登録をすることで、それぞれの行動履歴を正確に把握することができる。
画像: デジタルレイバーの管理

RPAツールで構築されたロボットは、メールを発信したり、書類を生成したりと、一社員のように業務上振る舞うことになる。そのため、キヤノンMJでは、個々のロボットに社員コードを割り振り、個別のメールアドレスも持たせるようにしている。その上で、現場の管理職が他の社員と同じようにロボットを管理することにしている。

「ロボットが実行した業務が社員の仕事の一部のように見えてしまうと、ロボットと社員それぞれの行動履歴が混同され、労務管理の正確性が損なわれます。RPAと社員の仕事をはっきりと区分けし、見える化した上で適切に管理することが重要です」

RPAが適用可能な業務は多岐にわたるが、全ての工程を自動化しようとすると、むしろ遠回りすることになる。

「定型業務の中でもRPAが得意な領域とそうでない領域があります。それを見極め、例えば、10ある工程の5番目から7番目だけをRPAに任せる。そのような一部分だけの自動化でも、業務効率は十分に向上します」

月間5000時間の労働時間を削減する

RPA導入による成果指標はどのように設定すればいいのか。キヤノンMJでは、「労働時間削減」を明確なKPIとしている。

「RPAの活用によって、全社でひと月に5000時間を削減することができれば、年間6万時間が削減できる計算になります。これは、社員およそ30人分の年間労働時間に相当します」

まずは定量的な目標を設定し、それを着実に達成することが重要だと磯村はいう。削減された時間をどのように活用するかは、その次のステップだというのが磯村の意見だ。

「例えば、企業が組織変革を目指す際は、人の配置をダイナミックに動かしていく必要があります。そのためには、業務時間に"余力"をつくらなければなりません。定常業務に掛かりきりになっている状態では、新しい活動に移ることができないからです。削減できた労働時間を、企業の次の成長戦略に生かしていく。そんな方向性が、次のステップとして考えられるのではないでしょうか」

RPA導入時の「棚卸効果」

RPAの効果は、「導入後」だけに発生するわけではない。RPA導入時に生まれる効果が実は非常に大きいと磯村は説明する。

「導入する際には、既存業務の見える化とマニュアル化が必須です。業務プロセスを全て洗い出し、どこをRPAに代替させるかを決めなければならないからです。その過程で、業務の無駄が明らかになるケースがしばしばあります。その無駄をなくすことができれば、仮にRPAを使わなくても、業務を大幅に効率化することができるでしょう」

業務プロセスを見える化し、必要のない業務を捨て、時間がかかっている定型業務をRPAに委ねる。さらに担当者の変更や組織改編においても、見える化の効果でより効率的に進めることが可能になるだろう。RPA導入時に必然的に発生する業務の、いわば「棚卸効果」。それ自体に、実は大いに意味があるということだ。磯村らは現在、RPAの「外販」をサポートする活動も進めている。

「RPA活用に効果があることはすでにある程度証明されています。現在は、多くの企業がそれをどう導入し、どう運用するかで試行錯誤している段階にあります。私たちは今後、自社のRPA活用で得られた経験を基に、キヤノンMJグループ各社がそれぞれ行っている、RPA製品のライセンス販売、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)および、コンサルティングサービスなどについて、営業部門を支援する立場で積極的に関わり、販売の一助となるよう活動していきたいと考えています」

進め方のポイント

まずは業務を見える化し、その上でRPAに限定せずに、あらゆる手段を使って効率化を進めることが大切だ。

画像: ECRS図

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    ケーススタディ 1
    「気持ちよく働ける環境」が生産性を向上させる
    「ホームロジスティクス」
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    ケーススタディ 2
    RPAで、ふるさと納税、人事給与、会計などの
    定型業務の自動化に着手
    「熊本県宇城市」

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