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既成概念を超えてゆけ! 働き方の未来

労働力人口の減少による人手不足は、今や多くの企業の喫緊の経営課題となっている。
少子高齢化や価値観の変化など、時代の流れは止められない。
ならばその流れに乗り、テクノロジーを駆使して、新しい発想で会社の在り方を再構築することが重要だ。
すでに改革は始まっている。人材を生かす職場環境づくりの現場に溢れるヒントを探ってみる。

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  • 2018.09.01

既成概念を超えてゆけ!
働き方の未来

ケーススタディ 3
社員全員がリモートワーカー、オンラインで業務をサポート
キャスター

テクノロジーの発展は、さまざまな働き方を可能にしている。その代表が、自宅にいながら仕事ができるリモートワーク。中小企業向けに、秘書や経理、人事などの業務をオンラインでサポートするキャスターは、全ての社員がリモートワークで勤務。地方にいながら、東京の賃金水準で効率的に働けることから、女性を中心に応募が殺到しているという。

写真: 中川祥太さん 中川 祥太(なかがわ しょうた)
株式会社キャスター
代表取締役社長

キャスターは「リモートワークを当たり前にする」をミッションに据え、2014年に設立した企業だ。社員は全員リモートワークで、メイン事業のキャスタービズは、秘書、人事、経理、Web運用といった幅広い業務をオンラインでサポートする。「前職でIT系アウトソーシングサービスの会社にいたのですが、リモートワーカーの賃金が安過ぎるという事実に直面し、そこに問題を感じて、キャスターを設立しました。人手不足といわれますが、弊社には毎月1000人以上の応募があります」と代表取締役社長の中川祥太さんは語る。

応募者は圧倒的に女性が多い。理由としては、仕事の時間を細分化できるので、子育てなどで時間の制約がある女性が働きやすいこと。そして、東京の賃金水準で全国一律に募集しているため、首都圏の男性の半分程度の賃金といわれる地方在住の女性が魅力を感じていることが大きい。加えて、これまではWebやデザイン、エンジニアなど限られた専門職以外は、オンラインでの仕事がなかったが、同社は事務系の作業をオンラインでできることに魅力を感じて転職する人が多い。

オンラインで業務サポートを行う顧客は中小企業が多い。一人の社員が9時から17時まで専任で張り付いて、各領域の業務について担当企業とコミュニケーションする(図)。「社員は一人で何社も担当していますが、専任で担当を付けているのは丁寧にやりとりしたいからです。アウトソースに慣れていないお客さまもいらっしゃるので、私たちが業務内容やニーズを整理して対応することが、とても重要です」

一般的にアウトソースを利用する機会の多い企業では、社内で業務を整理してから外に出す。しかし慣れていない企業では、業務の見直しからサポートが必要なケースも多い。それに対してキャスターは、顧客の課題を見分け、整理して対応していくことで高い満足度を得ており、3カ月ごとの契約更新は95%以上と極めて高い水準にある。

少子高齢化にともなう労働人口の減少が進む中、すでにシニア世代のリモートワーカーの活躍も始まり、その数は年々増加している。とりわけ、団塊の世代が70代後半になり、介護が必要な局面になると、多くの団塊ジュニア層がリモートワークを希望するようになる。「そうなると、労働人口の20〜30%がリモートワークで働かないと、企業活動が円滑に進まなくなると思います。そのため、国内市場は2040年くらいまでは順調に拡大していくと見ています」

キャスターでは少子高齢化が急速に進む韓国や中国などのアジア地域においても、日本での経験が生かせると考えており、積極的な展開を図っていく計画だ。

オンラインでの業務サポートのイメージ

社員がフロントディレクターとして、契約企業とやりとりを行う。そこで依頼を聞き、内容に応じて専門スタッフに割り当てる。これら全てを、直接顔を合わせることなく遠隔で行う。

画像: オンラインでの業務サポートのイメージ

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