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トップ > Cのキセキ Episode.10 「EOS 5Ds / EOS 5Ds R」 > P4
2015年の2月、カメラファンはあるカメラの話題で持ちきりとなった。それが、5060万というこれまでにない画素数のCMOSセンサーを搭載して登場した「EOS 5Ds」「EOS 5Ds R」である。
このカメラがもたらした驚きは、5060万という画素数だけでなく、それほど高画素のセンサーを搭載しながら“使いこなせるカメラ”として登場した点にある。
この驚きの背景に、キヤノンが持つ“総合力”が見えてくる。
振動対策と並んで課題となったのが、データの処理だ。「EOS 5Ds/5Ds R」は「EOS 5D Mark III」の2倍以上の画像データを扱っているにもかかわらず秒間5コマの連写性能を可能にするなど、ユーザーの“快適な撮影”を実現している。同事業本部で画像処理部門を率いた杉森正已は、その実現のためにデータ処理の方法を大きく見直したと話す。
「データ量が倍になるということは、そのままでは処理時間も倍になるということです。そこでセンサーからのデータの通り道を2倍に広げ、高速にデータ処理が行える映像エンジン『DIGIC 6』を2基搭載することで、データを並列処理できるようにしました」
1基がデータを読み込んでいる間にもう1基が画像処理を行う。これを交互に切り替えながらデータを処理するわけだが、二つの流れを適切にコントロールして、処理後の画質を保つのは簡単ではなかったという。
「『DIGIC 6』が2基になることで増加する消費電力をいかに抑えるかも課題でした。処理速度が落ちないようにしながら『DIGIC 6』内部の処理を細かく制御して電力の消費を減らしていく作業は、まるでパズルのようでした」
ユーザーの期待に応える“絵作り”もまた、力を注いだポイントだ。
「これまでにない解像感を表現するために、新しいピクチャースタイル『ディテール重視』を追加し、画像をよりシャープに、しかしながら細い線が細いままに見えるよう工夫をしました。髪の毛の一本一本が分離して浮き出るような写真が撮れるようになったと思います」
有効約5060万画素のCMOSセンサーから送り出される大量のデータを処理するために映像エンジン「DIGIC 6」が2基搭載されている。高速並列処理を行うことで、ノイズ除去や高度な画像処理をスピーディーに行い、高画質を実現している