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トップ > Cのキセキ Episode.14 「imageRUNNER ADVANCE C5500」シリーズ > P6
オフィスで何気なく利用している「複合機」。だが、市場では複数のメーカーが激しくシェアを争っている製品でもある。そんな市場にキヤノンはA3カラー複合機の新モデル「imageRUNNER ADVANCE C5500」シリーズを投入。「User-Centric」をコンセプトに、ユーザーの利便性を徹底的に追求したという開発チームのメンバーに話を聞いた。
開発メンバーが繰り返し語る“実感”という言葉。佐藤はその源流について、「imageRUNNER ADVANCE」シリーズが掲げるコンセプトである「User Centric」にあると話す。
「“お客さま視点で利便性を徹底的に追求する”というこのフレーズをコンセプトとして使い始めたのは、『imageRUNNER ADVANCE』の第一世代の検討が始まった05年でした。“技術開発はお客さまのためにあるべきだ”ということを改めて確認し、見つめ直す。そういう動きが複合機の開発チームだけでなく、キヤノン全体で議論されるようになった時期だったように思います」
やがて、そうした動きはキヤノンだけでなくキヤノンマーケティングジャパンをはじめとする、キヤノングループ全体にも広がっていったという。
「11年頃からは『VOC(Voice of Customer)』、つまり『お客さまの声』をよりよく聞くための取り組みが始まりました。商品企画や開発、販売との間で定例的なミーティングが行われるようになり、企画担当者や開発者が販売やサポートの現場に足を運んで製品が実際にどのように使われているのかを知る機会も設けられました。サポートや問い合わせの窓口に寄せられた声を分析して、そこから課題を抽出するシステムも構築しました。どれも、お客さまと『モノづくりの現場』の距離を近くするための取り組みです」
現在では、VOCは開発プロセスに欠かせないものになっている。望月は、キヤノン製品のアフターサービスを担当するキヤノンシステムアンドサポートのスタッフに同行してサポートの現場を訪れたり、情報交換をしたりといった機会を持つことで「お客さまの存在をより強く意識するようになった」という。
城戸崎は、こうした流れの中から「実感という言葉が自然と出てきた」という。
「普段、開発を担当するエンジニアは開発室にいるわけですが、製品が実際に使われ、メンテナンスされている現場を知ることで、“自分たちが作った製品がお客さまと結び付いている”という意識が非常に強くなりました。そして、それはより良い製品を開発するモチベーションにもつながっていると感じています」
「imageRUNNER ADVANCE C5500」シリーズの開発にとって重要なキーワードとなった“実感”という言葉は、キヤノンが“お客さまのため”に取り組んできた活動の中から自然に生まれ、育ってきたものなのだ。
操作性、生産性、画質の向上に加え、発売後でもインターネット上から最新のファームウェアにアップデートすることで安定稼働を実現する「ファームウェア自動アップデートサービス」や、インターネットを利用してエラーやトナーなどの消耗品の残量などを遠隔モニタリングするオンラインサポートシステムの「NETEYE(ネットアイ)」など、管理や運用などをサポートする機能やサービスも提供している。それらも含めて、実際に利用される企業のお客さまはもちろんのこと、販売を担当する現場のスタッフ、さらには販売店各社からも「好評をいただいている」と宮嶋は言う。
「『imageRUNNER ADVANCE C5500』シリーズが、オフィスの生産性向上に結び付く製品だと実感されているからではないでしょうか。販売店の方にも、“この複合機はオフィスでの業務効率の改善や生産性の向上につながるさまざまな提案の核になる”と感じていただけているのだと思います。キヤノンマーケティングジャパンとしても期待にさらに応えるべく、より一層お客さまを中心にした製品を提供しなければと感じています」
使う側の“実感”を大切にした開発スタイルは、これからキヤノンのものづくりを語る上で欠かせないキーワードになるだろう。