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トップ > Cのキセキ Episode.16 「POWER PROJECTOR 4K600STZ」 > P3
映像の4K化が進む中、新たなニーズが生まれつつあるプロジェクターの世界。そこにキヤノンが送り込んだのがレーザー光源システム搭載の4Kプロジェクター「POWER PROJECTOR 4K600STZ」だ。超高画質かつ世界最小・最軽量を実現した新たなフラッグシップモデルの開発にはたくさんの“キヤノンらしさ”が込められていた。
キヤノンが追求する「4K高画質」とはどういうものか。その問いに対し、「4K600STZ」の光学部分(レンズ)の設計を担当した高橋 真は、「4K映像の緻密さを余すことなく表示できること」だと答える。
「4Kはフルハイビジョンと比べて画素数が4倍になります。光学系もそれを前提とした物でなければ、その情報量を十分に引き出すことはできません。投影する映像が4Kになると、色ズレが目立つようになるだけでなく、よりゆがみの少ない映像が求められます。ですから、それらを徹底的に少なくすることが『4K高画質』には不可欠です。そのため、今回の製品では、レンズ自体の構成、素材、形状全てを見直すなど、光学系を一から設計し直しました」
その結果、「4K600STZ」には「12群16枚」の4K専用ワイドズームレンズが組み込まれた。被写界深度が深いレンズ特性に加え、像面湾曲を補正する周辺フォーカス調整機能というキヤノン独自の機能を搭載したことが、「4K600STZ」が狙う市場が求める「4K高画質」を実現するために大きな役割を果たしたと高橋は話す。
「プロジェクションマッピングやシミュレーターでは、半球状のスクリーンに投影するケースがあります。その場合に問題となるのが、ピントが中央部では合っていても四隅ではズレてしまうという現象です」
従来のプロジェクターではこの調整が難しく、どこかで妥協しなければならなかったり、元の映像を加工しなければならなかったりしたという。
「『4K600STZ』ではこうした問題を解決するため、中心部のピントを合わせるレンズに加え、周辺部のピントを独立して合わせられるレンズを組み込んで『周辺フォーカス調整』と呼ばれる機能を搭載しています。まったく新しい独自のレンズ構成によって、中央部のフォーカスと、周辺部のフォーカスという二つの独立した機能を共存させました」
この周辺フォーカス調整機能を実現させるために重要な役割を果たしているのが、高精度非球面レンズだ。採用した非球面レンズに対し、高橋は改めてキヤノンという会社の強みを感じたという。
「社内の高精度な表面形状を開発するグループが、企画意図をくんだ設計をしてくれました。カメラをはじめさまざまな光学技術を必要とする製品を持つキヤノンだからこそ実現できた機能です」
スクリーン四隅にまで至る、徹底したクオリティーの追求。ここまでして初めて「4K高画質」が実現するのだ。
「DCI4K」と呼ばれる正規の規格は「4096×2160ピクセル」だが、ひと口に「4K」対応といってもその実現方法はさまざま。小さなパネルを組み合わせたりして実現している製品も少なくないが、キヤノンは「DCI4K」を上回る「4096×2400ピクセル」のLCOSパネルを使用することで「リアル4K」を実現している。