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DXの実現へ データドリブンが生み出す新たな価値

デジタル時代の今、データはヒト、モノ、カネに続く重要な経営資源といわれている。自社に蓄積するデータを有効に活用すればビジネスに新たな価値を生み出し、競争優位性も高められるはずだ。データに基づいた意思決定を行うデータドリブン経営の重要性への理解は深まる一方で、データ活用がうまく進まない企業も少なくないようだ。どうすればデータドリブン経営を実装し変革を実現することができるのか。取り組みを進める企業や識者インタビューから読み解く。

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  • 2023.06.01

DXの実現へ
データドリブンが生み出す新たな価値

コラム1データマネジメントの推進が、データドリブン経営の肝

企業が保有するデータは量、種類ともに増大する一方、どう活用すればいいのか手探りの企業も少なくないようだ。業務の現場から生まれたデータを基に、企業変革のためのDXを推進していくには、データ活用に基づく経営の意思決定が不可欠だと指摘するのは、データ総研 代表取締役社長の佐藤幸征さんだ。DXの前提となるデータ駆動型経営、データマネジメントの考え方について聞いた。

写真:佐藤幸征さん 佐藤幸征(さとう こうせい)
株式会社データ総研
代表取締役社長

昨今データはヒト、モノ、カネに続く経営資源となる中、保有するデータをいかに活用してDXを推進するかが課題となっている企業も少なくない。また、部門ごとにデータが散在し、組織全体のDX戦略の立案や経営の意思決定にデータを役立てるのは困難という声も多い。

DX推進に向けたデータ活用がなかなか進まない理由は、企業によりさまざまある。データ活用といっても、組織や部門によって目的や課題が異なり、部門ごとに業務に必要なデータの内容が違うため、同じ組織であっても一貫性がない場合がある。また、部門ごとに個別最適でデータベースを構築してきた結果、容易にデータ連携ができないといった問題を抱える企業も多く見受けられる。

こうした課題を解消し、データドリブン経営の推進に向けてデータを適切に管理・活用するために欠かせないのがデータマネジメントだ。データマネジメントの取り組みを通じ、経営の意思決定に必要なデータは何か、最も信頼できるデータはどこにあるのかを明らかにしていく。また、商品や顧客のデータなどの基礎情報を持ち、他から参照されるマスターデータについても、部門ごとの管理方法の違いを整理するなど、情報連携をしやすくするための取り組みが必要だ。

さらに、データマネジメントを担う組織を社内に設け、「まずデータマネジメントの基本方針やデータ活用のガイドラインの策定を行った上で、データを管理・活用するための施策や基盤の構築、活用のナレッジを社内に広げる取り組みを継続的に進める必要があります」と佐藤さんは語る。

経営者の役割は、データの価値を組織に周知徹底すること

データ活用で留意しなければならないのは、業務の現場で発生した"生"のデータのままでは経営判断がしにくいということだ。利用できるデータの種類や量が圧倒的に増える中、データドリブン経営を進めるには、"意思決定に役立つ価値あるデータ"へと整える必要がある。その役割をデータサイエンティストに期待する経営者もいるかもしれない。だが、せっかくデータサイエンティストを雇っても、データの整理に時間と労力を費やし、本来の仕事であるデータ活用に能力を発揮できないという問題も浮かび上がっているという。

「経営者の役割はデータサイエンティストが本来の役割を果たせるように、まずはデータドリブン経営に必要なデータの価値を共通認識として組織に周知徹底することです」

"2025年の崖"が取りざたされた2018年ごろ、DXはレガシーシステムの刷新に主眼が置かれた。このため、DXの本質は企業文化や組織そのものの変革であるということが薄れてしまったと佐藤さんは指摘する。

「DXの目指すべき姿が認識され始めていますが、あらためて経営層が変革の方向性を明確にした上で、データを活用すれば、経営の意思決定や判断基準が大きく変わるということを社内に強く示す必要があります。そうしなければDXがうまく進んでいるのか判断することもできません」

データマネジメントをどのように進め、データドリブン経営を実現するか。経営者の覚悟が問われている。

データ駆動型経営のためにはデータマネジメントの推進は必須

図:データ駆動型経営のためにはデータマネジメントの推進は必須

「個別業務の効率化」を目的に活用する限定的な取り組みのレベルから、業務横断でデータを活用し、その改善プロセスを継続的に実施するレベルにステップアップするには、データマネジメントの推進が必須となる

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