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トップ > Cのキセキ Episode.12 「imagePROGRAF PRO-1000」 > P3
キヤノンが満を持してリリースした「A2」サイズに対応したインクジェットプリンター「imagePROGRAF PRO-1000」。
「PIXUS PRO LINE」と「imagePROGRAF」という、キヤノンが誇る二つのブランドの総力を結集した新しいモデルだ。
ライバルの牙城を切り崩すために、そこには多くの技術と、さまざまな思いが込められている。
その新インクを用紙に吐出する部分が、「プリントヘッド」だ。その開発を担当した村岡千秋は、新インクの課題の一つとして吐出量管理の難しさを挙げた。
「インクの吐出量は、温度によって変わる特性があります。吐出量が変われば色の濃度が変わり、画質に影響が出ます。そこでプリントヘッドに温度センサーを配してインクの温度を読み取り、それに合わせてヒーターの駆動を変えて吐出量をコントロールするのです。従来各チップに1個だった温度センサーを9個に増やし、より細かくモニターすることにしました。また、12色それぞれ特性が異なるので、インクごとにヒーターの駆動を最適化しました。最適な条件を見つけるのが難しい色もありましたが妥協はしていません」
次に問題になったのが、プリントヘッドの大きさだ。「imagePROGRAF PRO-1000」の大きなテーマの一つが小型化だったためだ。
「A2サイズのプリンターとして机の上に乗るサイズに収める。この命題を実現するには、各部のサイズを少しでも小さくしなければいけない。
一方で、インクを吐出するノズルの数を従来の1.5倍にして一度に印刷できる幅を増やし、印刷速度を上げることも決まっていました」
村岡はヘッド内部の構造そのものを見直し、試行錯誤を繰り返し、1.5倍のノズル数と9個の温度センサーを搭載しながら、従来のものと同じ幅に収めることに成功した。