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コロナ禍で売り上げが伸びる“おいしい最新調理器具” コロナ禍で売り上げが伸びる“おいしい最新調理器具”

新型コロナウィルス感染防止のために出されていた非常事態宣言が、首都・東京でも解除されたが、それでもコロナ以前の日常を取り戻すまでには、多くのハードルがある。外食産業を取り巻く環境はまだまだ厳しい。
レストラン予約・顧客台帳管理最大手のトレタがまとめたデータによると、2020年4月後半の契約店舗への来客人数は前年比7%程度にまで落ち込んだ。回復傾向ではあるものの、6月第2週の数字でも39.63%とまだまだ厳しい。通勤・観光・買い物などでの外出がない限り、現地での住人が少ない東京都中央区や千代田区は25%と、さらに10%程度を割り引いてみなければならない。

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在宅勤務の増加で
生まれる新しい需要

会社への通勤はあっても、勤務地から近隣の外食店への流れはまだまだ本格化しにくい状況にある。新型コロナウィルスの特効薬やワクチンが開発されるまで、この状況に変化はないだろう。
一方で総人口が減っているわけでもない。オフィス街での人混みが消えた一方、住宅街の食堂や公園、あるいはスーパーマーケットには人が溢れる光景が頻繁にみられた。オフィスに出勤しなければ、自宅近くで過ごさねばならない。
東京・銀座から減った人影は別のどこかに移動しているからに他ならない。人が集まれば、そこには市場が生まれる。テイクアウトやデリバリーといった「自宅向け」の食事が脚光を浴びているように、自宅で過ごすがゆえのヒット商品も生まれている。

売り上げが急伸する
水なし自動調理鍋

ヘルシオ ホットクック
ヘルシオ ホットクック
調理例

パナソニックによると「スチーマーナノケア」という、スキンケア器具の売り上げが自粛要請でテレワークが増え始めた3月に前年比1.5倍と急伸。4月以降は1.8倍を記録したという。理由はエステなど美容サービス店舗へと行くことを控え、自宅美容に目覚めた女性が増加したことだ。

化粧品などの売り上げが外出現象で激減する中、在宅美容用品へと消費がシフトしていることがわかるが、在宅利用で顕著なのはやはり食に関連した商品だ。
「電気圧力鍋」は4月、前月比約1.7倍、「ホームベーカリー(パン焼き器)」、「ハンドブレンダー(ミキサー)」はともに約2倍、「ホットプレート」も約1.6倍と急伸した。
無論、家電業界全体では売り上げが伸びているわけではないが、消費者の投資先が変化してきているということだ。

そうした中で特異な数字を出しているのが、シャープの水なし自動調理鍋の「ヘルシオ ホットクック」だ。1〜3月の売り上げで前年同月比2.5倍、4月以降は3倍以上も売り上げた。
ヘルシオ ホットクックは材料を自動的に混ぜながら、火加減を自動調整する電気鍋で、材料と調味料を適量、鍋に入れてボタンを押すだけで様々な料理を作ることができる。
この特徴を活かした食材キット宅配サービス「ヘルシオデリ」も提供しているが、こちらも本体と同様に急成長している。材料を入れれば、あとはボタンを押すだけ。しかも無水調理で旨味が閉じ込められる。

一般的な無水鍋は火加減を調整しながら、焦げ付かないように材料を混ぜねばならないが、混ぜ技ユニットという部品を組み込むと自動的に材料を混ぜながらの調理が可能になる。
その上、材料と調味料がセットで届くのだから、間違いなく一定以上の品質の料理をいただける。自宅での食事が増えることで、売り上げが増加することに納得できるはずだ。

ヘルシオ ホットクックと調理例
ヘルシオ ホットクック

住宅地の持ち帰り業態
に活路

ドーナツ

景気動向を気にしながら、旺盛な消費が生まれているわけではない。しかし、日本の外食産業を育てた「おいしいものが食べたい」という欲求は、コロナ禍の中にあっても失われるわけではないということだ。
外食での「おいしさ体験」が激減すれば、その欲求は自宅での食事、あるいはデリバリーやテイクアウトに向かうことは必然だが、ここで重要なことはプラスアルファの付加価値も、業態変化とともに変化しているということだ。
例えばイートインの業態であれば、お店の雰囲気や盛り付け、食器類の佇まいや素材の選び方も、食事そのものとともにお店の価値となっていた。高級料理店の佇まいを持たせるのか、居心地の良さを魅力にするのか、それともエコを意識したシンプルな空気を作り出すのか。

こうした要素を、デリバリーやテイクアウトでどのように表現するのか、その答えはまだ見つかっていないが、ヒントは色々なところに顕在化している。
あるスイーツショップのオーナーは「商業地区やオフィス街の店舗は人通りが少なく全滅。しかし持ち帰りが前提の住宅地にある店鋪は、自粛によって売り上げが3倍になった」という。
商業地区にある店舗はイートインの売り上げが中心。人通りの多い路面店での売り上げはスイーツとコーヒーだけで毎月2,000万円を売り上げていたが、現在は500万円まで低下。しかし、住宅地にあるテイクアウト専門の小さな店舗が毎月3,000万円を売り上げるようになったという。緊急事態宣言が解除されて以降、この効果は失われているものの、収益は確保した。

この店は味に加え、「お土産」としてテイクアウトする商品の雰囲気、ストーリーを重視していた。その効果が人の流れの変化とともに出てきているのだろう。アフターコロナを見据えて、独自の付加価値を加えたサービスの提供が今後のビジネスの行方を左右するに違いない。

【2020年6月作成】
ドーナツ

ヘルシオ ホットクック

https://jp.sharp/hotcook/

ヘルシオデリ

https://cocorostore.sharp.co.jp/kitchen/

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